16年間バンドやってきて、こんだけいいファンに囲まれて、自分の人生としておそらく最後であろうこのビッグチャレンジをできるのが、幸せだなあと思う
――反逆者というタイトルそのままに、「壊してもう1回作り出そう」というニュアンスの歌詞があるよね。これは今の時代の空気であるのと同時に、これからのONE OK ROCKというバンドのスタンスを表現しているようにも感じられるんだけど、合っていますか?
「いや、その通りですね。基本的にはやっぱり僕らも、時代はいつの時代も繰り返していると思ってるんで。言い方は悪いですけど、ついに来たゴールがコロナだと思ったから。ここからまた新しく始まって、何かが起きるまで、時計は止まらずにずっと進み続けるんだけど、それは僕らが作らなきゃいけない次の円だから。だから、現状維持は絶対ダメだなっていう、強い意思表示ですね。僕らのこれからの覚悟を記しているっていう感じです」
――あと英語詞で《We could be the renegades》っていうフレーズがあるんだけど、これ《We would be~》じゃないんだよね。ここにバンドの確信があるなあ、と。
「はい。反逆者ってレッテルを貼られちゃうと、もう悪なんですよ。でも、さっきも言ったみたいに、ポジティブな要素を持たせて、反逆者になれるってことは望んでなるっていうことなので。日本語だとすごく悪いイメージだけど、反逆するっていうことは仕返しするってことでもなくて、あるものを正したりとか壊したりとか、でもちゃんとそこには素晴らしい世界を求めて進んでいる人たちがいるんだよ、っていうことで。だから反逆者っていう言葉には、ここから始めようぜっていう意味合いもあるんですね」
――またTakaくんの歌のレベルが、一段階も二段階も上がったなあという感じがしますね。
「『Eye of the Storm』 のおかげですね。あれがないとこれはできないです。そんな簡単じゃないし(笑)。エドの作るAメロのラインなんてもう、普通に無理ですからね。でもそこは準備してきたからこそできて。そういうことってすごい大事なんだなあとも思ったし」
――自分なりに今回の歌を採点すると?
「いや、まだまだですけど。でもやっぱり、なんとなーく掴んできている感じはありますね。だから年齢とともに、もの自体は落ちていくんですけど、スキル自体は上がってくじゃないですか。だからどれだけハイクオリティで保って、この自分のスキルにしっかり合わせていけるか、やっとそういう勝負になってきたかなって」
――Takaくんの今までのキャリアの中では、自分自身との葛藤や戦いっていうのがテーマとして大きかったと思うんだけど、ある程度欲しいものを手に入れて、達成したいことも達成できた。そんな中、今回の制作における自分自身との向き合い方ってどうでした?
「やっぱり圧倒的な自信、そこに尽きるかなという気がしますね。自信を持つこと、それで人は何倍にも輝けるから。曲を作っている時ももちろん自信を持って、違うって言われたら見つめればいいし、嫌いって言われても見つめればいいし。やっぱり信じるっていうことはすごい大事で、キーワードになっているのかなあっていう気がします。今までも言ってきましたけど、今の『信じる』は今まで言ってきた濃度よりも何十倍も何百倍も濃い」
――ちなみに僕は優れたミュージシャンは、どこかに優れたビジネスマインドを持っている人が多いと思うんですね。そういう意味で、Takaくんも優れたロックミュージシャンであり、優れたビジネスマインドを持っている人だと思う。今後、いわゆる商業的な成功についてはどう考えていますか?
「日本での商業的な成功というのは、自分の中でテーマとして持つ必要はないと思いますね。結局、あとは革命だけなので。革命は金では買えないというか。事実が必要じゃないですか。じゃあアメリカっていうマーケットを見た時に、商業じゃないのかって言われたら、たぶんそれは商業だと思います。異国なので。自分たちの国を耕すわけではないじゃないですか。他の畑にごはんを食べに行くっていう感じなので、そこでは利益は出したいですよね。ただ純粋に、海外では結果イコール、ビジネスなんですよ。直結してるというか。(アメリカは)あれだけ国土を持ってる国ですから、何かひとつ成功すれば、必然的にビジネスになるわけで。また今度はその成功を持って、日本に還元することができるっていう。一石二鳥ではあるんですけど、文化の違いとか言語の違いから、どうやったってアメリカで一旗揚げるっていうことは難しい。今は二足の草鞋を履いてるようなものなんで。そこはどのタイミングでシフトチェンジしていくかってこともすごく大事だし、そこにはすごく慎重なのかもしれないです」
――釈迦に説法かもしれないけど、アメリカだとロックバンド自体がチャート上でも苦戦してるんだけど、そんな時に「いや、ロックじゃん」って言える確信ってどこにあるんだろう?
「誰もいないからなんですよ」
――ははは、なるほど!
「僕がアメリカのロックにワクワクした時って、(バンドを始める)16年前ですからね。マイケミだって、もう10年ぐらい前ですよね。あそこからワクワクするバンドがいないんですよね。ただそろそろ生まれてき始めてるんですよ、ロックの子どもたちが。あと必要なのはそれを体現するバンド。世界中を俺らも回ったんだけど、そういうバンドがそんなにいないんですよ。じゃあ俺らがそこ、勝ち取りに行けばいいじゃんっていう。今、チームはもう揃ってるだろう、っていう感じだから、あとは自分たちのパワーで動かしていけるかっていう。それだけなんですよ」
――ミュージシャンとして、ロックバンドをオーガナイズするだけじゃなくて、チーム全体を動かしていくっていう意識に変わりつつあるってこと?
「そうですね。今アメリカで、ロブや僕らを応援してくれてる方々に、同じ説明をして。『ロックを戻そうよ。あなたたちがやらないと戻らないんだよ。僕らは体現してるバンドだけど、あなたたちは仕事してくれ。ロックをもう一度、蘇らせようよ。別に蘇らせるのはアジア人だっていいじゃん。むしろ今、俺らみたいなバンドじゃないと、受け入れられないよ。だから一生懸命プロモーションしてくれ』って」
――すごくロジカルなインタビューだ(笑)。それだけフォーカスは定まってるってことなんだね。
「あとはやるだけっすね。でも僕は日本人だから、最後はやっぱり日本に戻って、この自分が経験したすべてのことをちゃんと次の世代に受け渡したいっていうのがあるので。だからほんとにどこまでできるかわかんないですけど、まずはがむしゃらにやるしかないですね。それぐらい強いテーマを持ってアルバムを作れていることにミュージシャンとして今、すごい喜びと幸せを感じてるって感じですね」
――今、楽しい?
「楽しいです」
――最高だね。そんなに巨大なテーマを掲げてるのに「楽しい」って純粋に言えるって。
「ほんとっすよね。めでたいです」
――ちなみにリアルライブはどうですか?
「やりたいですね。でもなかなかできないから、そこはちゃんと空気を読んでやろうかなとは思ってますけど。今年は絶対どっかでやりたいなと。日本でもやりたいなと思ってます」
――では日本のファンに対してのメッセージは?
「ほんとにもう、お待たせしましたっていう感じかな。最近はいろんな情報を自分たちから発信するじゃないですか。まあオンラインライブもそうだったんですけど、それを受け取ったファンが、すごくいいファンばっかりだなあと、自分の中でよりいっそう強く感じるなあって。16年間バンドやってきて、こんだけいいファンに囲まれて、自分の人生としてはおそらく最後であろうこのビッグチャレンジをできるのが、幸せだなあと思うんですね。人生の中でね、こんだけでかい目標掲げて何かやるってもうないと思うんですよ。それを受け入れてくれる素敵なファンの人たちと一緒に臨めるのは、いや、嬉しいなって感じですね」
――ありがとうございました。最後に何か言い残していることはあります?
「もう久々に全部吐き出しました!」