スコット&リバース×ジャン・ケン・ジョニー 国境を超えたスペシャル対談!
WEEZERのリバース・クオモと、ALLiSTER/MONOEYESのスコット・マーフィーという、世界的アーティストでありながら親日家のふたりが、日本語の歌詞で歌うプロジェクト、スコット&リバース。そして、海外ツアーを行い、国境など関係ないと言わんばかりのスケール感の音楽を鳴らし続けるMAN WITH A MISSION。この二組、正反対のスタンスのようでいて、実はお互いをリスペクトし合う関係性なのだ。
そこで今回は、スコット&リバースのふたりと、MWAMを代表してジャン・ケン・ジョニーに参加してもらい、貴重な鼎談を敢行! 4月12日にリリースされたばかりの、スコット&リバースの2ndアルバム『ニマイメ』の話はもちろん、それぞれの活動や音楽観についても語り合ってもらった。なお、ジャン・ケンの発言は編集部で翻訳、リバースの発言は※のみ、英語発言を和訳しています。
アメリカでMWAMを観れるって、すごく面白い(スコット)
――スコット&リバースのオフィシャルサイトで、ジャン・ケンさんが『ニマイメ』に寄せたコメントを拝見したんですが。ジャン・ケンさんは、元々WEEZERやALLiSTERのファンだったんですね。
ジャン・ケン・ジョニー そうですね。めちゃめちゃ聴いていました。
――そんな中で知り合って。
ジャン・ケン・ジョニー はい。たまたまですけど、スコット&リバースが、渋谷のeggmanというライブハウスでアコースティックライブを行う時に、そこのブッキングの人が、僕が彼らのファンだっていうことを知ってくれていて「もしよかったら一緒に出ないか? 弾き語りのソロでもいいよ」っていうことで、ふたつ返事で出ますと。演奏することよりも、ふたりに会うのが目的でした(笑)。
――(笑)。スコット&リバースのおふたりは、ジャン・ケンさんの初対面の印象はどうでした?
スコット すぐに仲良くなって、その夜もザ・ビートルズの“Hey Jude”を一緒に演奏して。
ジャン・ケン・ジョニー ライブの締め括りに演奏しました。
――その後は、スコットさんがMWAMのシカゴのライブを観に来てくれたこともあるそうで。
ジャン・ケン・ジョニー アメリカツアーの時に、シカゴにいるから観に行っていいかと。嬉しかったですね。
スコット アメリカでMWAMを観れるって、すごく面白い。日本でも何回も観ているけれど、自分が住んでいる街で観れて、嬉しかった。
――シカゴでのMWAMのライブは、どうでした?
スコット いつもと違う感じ。別の意味でカッコよかった。何て言うんですかね……日本人のアーティストはそんなに来てくれないから、嬉しかった。
――他のオーディエンスも。
スコット 喜んでて、盛り上がってて。
――そうやってMWAMはアメリカや海外にライブに行っている一方で、スコット&リバースのおふたりは、アメリカの生まれでありながら、日本で活動もされているじゃないですか。そんな逆転の構図を持つ二組なのに仲がいいということが面白くて。だから、今回はそれぞれに「日本の音楽の面白さ」「海外の音楽の面白さ」を訊いていきたいと思ったんですね。そこで、まずスコット&リバースのおふたりに改めて訊きたいんですが、日本の音楽の面白さを、どういうところに感じてらっしゃいますか?
リバース メロディと、コード進行がよく展開しています。アメリカでは無理です。
スコット 無理ではないけど(笑)、流行っているものは、ずっと同じコードを繰り返していることが多くて。
リバース 絶対無理です!
日本はここが一方通行とか規則が多いけど、音楽に関しては自由だよね(リバース)
――スコットさんも、日本の音楽の面白さという点に関しては同じ意見ですか?
スコット うん。日本の音楽は、もっといろんなことができるし、いろんなスタイル……例えばアメリカのラジオ局は、ロックのステーションはロックしかかけない、ポップスのステーションはポップスしかかけない、でも日本のラジオ局は、いろんなテイストの曲をかける。だから日本人は「これしか聴かない」っていうスタンスがなくて。僕らの『ニマイメ』も、いろんなジャンルの曲をやってるし、いろんなコード進行だし。でも、リバースが言ってるのは、こういうアルバムをアメリカで出したら誰も聴いてくれない、っていうことだと思う。
リバース 日本ではもっと自由がある。※日本は規則が多くて、自転車も、ここを通る時は一方通行とかあるけれど、音楽に関しては自由だよね。
――そのへんって、ジャン・ケンさん、何でだと思います?
ジャン・ケン・ジョニー 何ででしょうね。僕は、もしかしたら国土の狭さと人口密度と歴史がそうさせてるのかなって思います。あと、四季がはっきりしている国だから、すごく変化するものが好きなのかな。日本の音楽のコード進行が忙しないっていうのも、ものすごく同意します。ある意味、忙しいけど美しいものを求めているっていうか、刹那的なものが国民性にあるのかな、って。でも、それを自由だと捉えてくれるのは面白いなと。僕は、洋楽がコード進行しないっていうのも、ある意味で国土の広さが関係しているのかなと思っていて。一見単調だけど、ものすごくソリッドなメロディで、歌詞も、変わらないじゃないですか。1サビ、2サビ、3サビと、絶対的なテーマが一個あって、それが芯だと表しているのかなと。それが圧倒的に日本の音楽と違うところですよね。でも、両者美しいところがあるし、そこがカッコいいって思われているのは、お話を聞いてすごくびっくりしましたね。
スコット あと、多分だけど、日本はカラオケがメインじゃないですか。この曲は歌えるかどうか、っていう。アメリカは、歌うより踊るんです。だから、この曲は踊れるかどうかが大事。ダンスミュージックだったら、いっぱい展開があれば踊れなくなるから、ずっと同じ感じで。でも日本は、そんなダンスしないですよね。
リバース アメリカでは、みんな音楽を使う。※自分はこういう人間だってアピールするためのものだから、ひとつのバンドがいろんなことをやろうとするとブレてしまう。
スコット 音楽だけじゃなく、日本は、みんな一緒っていうのが、すごくある。アメリカは逆に、俺は違うぞっていう。
――そういう意味では、スコット&リバースはアメリカの音楽として作っているんですか? 日本の音楽として作っているんですか?
スコット カリフォルニアJ-POPって言ってるんだけど(笑)。
リバース いつも無意識に歌を作る。それから、スコットさんは全部僕の歌を聴いて、選ぶ。
スコット そこからアレンジして、日本語の歌詞を書いて、アルバムになります。