踊れない人も

ゾンビー『ウィズ・ラヴ』
2013年07月17日発売
ALBUM
ゾンビー ウィズ・ラヴ
ダンス・ミュージックやテクノに関して正直それほど深く入り込んでいるわけではないため、ダブステップというのにもあからさまに乗り遅れた人間だったりするし、このゾンビーという顔を隠した正体不明のアーティストが、その界隈でどういう位置づけになっているのかとかはよく分からない。しかし、前作にアニマル・コレクティヴのパンダ・ベアが参加したとか、ディプロやブリアルからも絶賛されているという売り文句を知らないまま、まずそのゾンビーというモニカーにピンときて、たまたま耳にした瞬間から、これは自分が積極的に聴くべきものだということはすぐさま感じ取れた。

引き続き4ADからリリースされる2年ぶりの新作は、2枚組で全33曲というヴォリューム。ただ、多くのトラックは1~2分台の短いものばかりで、各盤の収録時間も40分ずつくらいだ。とにかく聴いてもらえれば、「僕の音楽はダンスよりむしろアートに比重がある」というような主旨のゾンビー本人による発言にも納得できると思う。これは、筆者が80年代に好んで聴いていたエレクトロニック・ミュージックと同じ地平にある、その最新型だ。 (鈴木喜之)
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