10年3月に再結成ツアーで来日を果たし、4月に新EP『Simple Science』をリリースしたゲット・アップ・キッズが、遂に5作目となるニュー・アルバムを作り上げた。2004年の『ギルト・ショウ』以来、2005年の解散を経ての約7年ぶりの新作だ。泣ける。セカンドの10周年記念ツアーがきっかけで自然に曲作りが始まって、これまで同様エド・ローズがプロデュースを手掛けた紛れもないゲット・アップ・キッズの新曲の数々。もちろん懐かしさもあるけれど、このアルバムからは未来の音がする。ベースのロブ曰く、バンドの骨格を保ったまま「奇妙な」サウンドにしたかったそうだが、この新鮮な違和感こそ新しさの証拠であって、彼らが完全復活した喜びを実感させてくれる。

EPに続き今作もヴェイグラントを離れて自身のレーベルからのリリースで、もう一度すべてを自分達の手でやるところから始めるという意味でもバンドにとって新しいスタートだと言える。他バンドでも活動しているメンバーの動向も気になるところだが、このアルバムで確かな現在を手に入れた彼らの前には、真新しい未来が広がっている。（網田有紀子）