これまでのアヴェンジド・セヴンフォールド、特に『シティ・オブ・イーヴル』を愛聴してきた人にはガッツポーズのアンセム“ナイトメア”で幕を開ける新作。この曲、6分を超える長大な楽曲だが、本作のポイントはまさにそこにある。リリック的には、どの曲にもレヴへの想いを想起させるようなフレーズが散りばめられているのだが、そうした感情と呼応するかのように、楽曲も幾度も展開し、まだまだ自分たちの内面に渦巻くものには届かないと、どんどんと強大化していくという構図がある。そして、すごいのは、祈りの様相を呈したバラードもあるのだが、そうした追悼的な側面を持ちながら、このバンド特有の猥雑さもまったく失われていないことだ。「哀悼」でも、「悲劇」でもなく、「悪夢」。このアルバム・タイトルはバンドにとっての偽らざる本音だろう。彼らはレヴの死に当事者としての表現を試み、それを成就するためには、自分たちの積み上げてきたサウンドをまっとうするしかなかったのだ。Mシャドウズのボーカルもこれまで以上に、ぐっと幅を広げている。作らなければならなかった作品を彼らは一歩も引かずに作り上げた。(古川琢也)
そこには生前のレヴの歌も
アヴェンジド・セヴンフォールド『ナイトメア』
2010年07月28日発売
2010年07月28日発売
ALBUM
これまでのアヴェンジド・セヴンフォールド、特に『シティ・オブ・イーヴル』を愛聴してきた人にはガッツポーズのアンセム“ナイトメア”で幕を開ける新作。この曲、6分を超える長大な楽曲だが、本作のポイントはまさにそこにある。リリック的には、どの曲にもレヴへの想いを想起させるようなフレーズが散りばめられているのだが、そうした感情と呼応するかのように、楽曲も幾度も展開し、まだまだ自分たちの内面に渦巻くものには届かないと、どんどんと強大化していくという構図がある。そして、すごいのは、祈りの様相を呈したバラードもあるのだが、そうした追悼的な側面を持ちながら、このバンド特有の猥雑さもまったく失われていないことだ。「哀悼」でも、「悲劇」でもなく、「悪夢」。このアルバム・タイトルはバンドにとっての偽らざる本音だろう。彼らはレヴの死に当事者としての表現を試み、それを成就するためには、自分たちの積み上げてきたサウンドをまっとうするしかなかったのだ。Mシャドウズのボーカルもこれまで以上に、ぐっと幅を広げている。作らなければならなかった作品を彼らは一歩も引かずに作り上げた。(古川琢也)