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11月に行われた15周年記念ライブで初披露されたこの曲。《負け犬らしくなっていいから》という歌詞の一節の通り、これは何が真実かもわからず(《虚実皮膜の狭間で三千世》)、どうしようもなく居心地が悪い(《居場所などもうない》)この世界で息も絶え絶えに生きるすべての人への讃歌である。ただし、だからといって、人の弱さをただ肯定し慰めるだけの優しい歌ではない。強度の高いビートが一心不乱に走るサウンドのデザインや広い音域を激しく上下動するメロディライン、あるいは曲中で聞こえてくる電話の呼び出し音とEveの「もしもーし」という声が物語るように、この曲はリスナーのケツを思いっきり叩く叱咤激励ソングでもあるのだ。《負け犬らしくなっていいから》というメッセージの前には《誰よりも困難だって/届かない声を絞って/叫んでくれよ》というフレーズがある。泣き寝入りするな、とEveは言っているのである。それは15年ものあいだ文字通り声を絞り続けてきた彼だからこそ投げかけられる愛の形だ。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年2月号より)
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