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念のため記しておくと、ここ最近完成を見た楽曲というわけではない。2021年に当時放映されていたNHK大河ドラマ『青天を衝け』のインスパイアードソングとして書き下ろし、公式HP上で公開されていた楽曲を4年の時を経て初リリースしたものである。つまりモチーフは主人公・渋沢栄一であり、メジャーコード主体の力強い曲調は、幕末から明治の動乱期をサバイブして新たな時代を切り拓いていった彼の足跡を想起させるもの。近作はもちろん“Tokimeki”や“踊り子”といった同時期の楽曲と比べても相当ストレートなロックに舵を切っている印象で、重ねたコーラスや軽やかなファルセット、随所で言葉をギュッと詰め込む歌唱で聴く者を駆り立て、まだここにない理想と幸せを希求しつつ《もう、笑っていこうぜ》と呼びかけるリリックにはポジティブな輝きを宿す。渋沢の生きた時代のみならず、曲が生まれたコロナ禍期、そして現代においても、混迷の時代に足掻き歩もうとする私たちと《未来》を繋ぐ、遅れてきたマスターピース。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年12月号より)
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