『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
彼らの新曲を聴く時はいつだって腹の奥のほうにグッと力が入って緊張状態になる。それはまさにライブ前の興奮と緊張が入り混じったなんとも言い難い感覚で、一音目が鳴り出した途端に安心と幸福が押し寄せてきてたちまち心も体も満たされる。満ち足りる。これは彼らの放つ楽曲が活動5周年を超えてなお「初期衝動」という原始的な音楽探究心の果てで産み落とされているからだろう。1stアルバムのようなギラつきと煌めきに縁取られたメロディラインが独自のポピュラリティを築き上げ、速歩きほどのテンポで刻まれるダンサブルなビートは我々の日常に静かな夜明けをもたらしてくれる。《バイバイしよう》《もしも生まれ変われるなら/こんなものいらないから》――終わりに向かって突き進むPEOPLE 1は今作で優しくそう歌う。「王冠を被った犬」をバンドのロゴとして掲げる彼らが放つ「犬曲」のひとつでもある今作は、MVでも王冠を被ったダルメシアンが奔走する姿が描かれているが、その足取りはいたって軽やかだ。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)
『ROCKIN'ON JAPAN』3月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。