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“アポリア”に引き続き、TVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』のエンディング曲を再びヨルシカが手がけた。n-buna(G・Composer)が「ある日見たへびの鱗がきれいだったので、へびをテーマにした曲を書いていた時、ふと『チ。』との親和性を感じた」というところから、この“へび”という楽曲ができあがった。その着想からのn-bunaの「知」の連想が、驚くほど美しく結実した楽曲である。曰くこの「へびが春に眠りから目覚め、外に這い出して世界を知る歌」は、唐代の詩人、元稹の詩の一節を典拠としているのだというが、n-bunaの「知」は一体どこまで広がっているのか、その豊潤な文学知識には嘆息するほかない。そしてへびの美しさ、慎ましさ、悲しさまでもを表現するsuis(Vo)の歌声が飛び抜けて素晴らしい。この静かな抒情を表現する歌声はやはり唯一無二のもの。この曲もまたヨルシカが描き続ける「前世」や「生まれ変わり」のテーマと深く結びつくが、その歌声を前にしては聴き手は没入以外の選択肢がない。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号より)
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