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「同時期にSNSから登場したニュースターふたりの夢の競演」というざっくりとした理解でこの曲を受け止めてももちろん間違いではないし、事実としてこの共作はインパクト大の「事件」ではある。ただ、それ以上に楽曲を繰り返し聴いて感じるのは、「やっぱりこのふたりって似てるんだよなあ」ということだったりする。似てるというのはむろん音楽性が、とか声質が、とかいうことではなく、アーティストとしての世の中に対するスタンスというか向き合う角度がとても近い距離で共鳴し合っている感じがするのだ。どれだけ受け入れられても、どれだけ共感を呼んでも、拭いされない孤独が、こうしてふたりで掛け合いのように歌を重ねてもなおイヤフォンから漂ってくる。この曲のデュエットも、そこに描かれる風景も、「ふたり」なのにどうしようもなく「ひとり」なのだ。彼らの原風景をベン図のように重ね合わせた、その真ん中だけを掬い上げるような1曲は、はからずも、なとりとは、imaseとは何かという答え合わせになっている。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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