ストイックに磨き込まれたタイトなダンスビート。その上に絢爛な彩りと豊かな躍動感を加えていくギターのカッティングプレイ。そして、真行寺貴秋（Vo）の情熱と優しさに満ちたソウルフルなボーカル。それらすべてを総動員して、徹底的に踊れる音楽を追求した原点回帰的な今作は、同時に、BRADIO流の渾身のメッセージアルバムでもある。たとえば、“ソウル・ギャラクシー”ではリスナーが誇る可能性を力強く讃え、“オワラナイ”では《今闘ってる者たちへ／泣いたり競ったり その姿に「いいね！」したいのさ》と現実の世界で闘う私たちを熱く鼓舞する。そして“運命へ”では、《運命へ 運命へ／それ決めんのオレたちだ Wow wow》と、いつだって人生の主導権は自分たちにあると宣誓する。そう、今作は、極上のダンスフィーリングを共有するだけではなく、ダンスホールの先に待ち受ける現実へ向けて突き抜けていくようなパワーを私たちに授けてくれる。たとえ、時間を忘れて踊り明かしたダンスフロアに夜明けが訪れたとしても、この作品を再生する限り、「ダンスホールの魔法」はいつまでも解けないのだ。（松本侃士）


（『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋）

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