天才ギタリスト、ついに開花

ジョン・ゴム『小さな奇跡』
ジョン・ゴム 小さな奇跡

間違いなく天才的なソロ・ギタリスト、ジョン・ゴムの最新作。もともとギター1本でパーカッションやベースといったアンサンブルを弾きこなしてしまうという技量の持ち主だ。その卓越したパフォーマンスを披露した“Passionflower”という曲の動画が12年にすさまじい勢いで拡散され、大きく注目されることになったが、今回の新作は7年ぶりに満を持してのアルバムということになる。特にこれまでと違うのは、レコーディングでもずっと「ひとりアンサンブル」にこだわってきたのを、プロデューサーを務めたアンディ・ソレンソンのキーボードを加えていることだ。実は自分の独特なアンサンブルをより広げた音像にしていきたいという構想はかねてから持っていたとのことだが、今回のコラボレーションで初めて実践に移したという。たとえば、これまでの演奏はソロ・アコースティックに限定されていたため、どうしても音のイメージがマイケル・ヘッジスに代表されるウィンダム・ヒル的な印象も強かった。しかし、今回のプロデュースで、音そのものが80年前後のリッキー・リー・ジョーンズのバック演奏を思わせるようなグルーヴと温もりも感じさせ、そのパフォーマンスの素晴らしさに改めて驚かされる。その上、基本的にほとんどの楽曲はボーカル入りで、そんな演奏にさらに繊細なジョンの歌が乗っかってくるのがこの人の音楽の特に美しいところだ。もともとはバンドで活動していたそうだが、自分の過剰なまでに完璧主義的なところがたたってバンドでの活動は断念し、今のスタイルに行き着いたという。以来、他者との関わりを断って制作に専念してきたが、今回初めてプロデューサーを迎えて、自身の最高峰となる音を生み出してみせている。(高見展)

各視聴リンクはこちら。ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
ジョン・ゴム 小さな奇跡 - 『rockin'on』2021年1月号『rockin'on』2021年1月号
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on