最近は
ROTTENGRAFFTY“金色グラフティー”や
サンボマスター“さよならベイビー”と、エモーショナルなカバー曲の発表が続いていた
10-FEET。待望の新曲“シエラのように”は、前シングル『ハローフィクサー』の実験的なアプローチから一転、カバーアレンジの流れにあるようなストレートなエモバラードだ。別にコロナ禍に関係なく、10-FEETは過ぎ去っていったものへの哀愁を歌ってきたバンドだけれど、いつもと違う夏、「京都大作戦」のない夏を過ごした今聴くには、その「らしさ」があまりにも沁みる。温かなバンドサウンドに乗せて《消えていく離れていく 願えば願うほど》と歌われる切実さが痛い。さらに、カップリングの“彗星”が《心の奥を隠さずに伝えて/傷つき合えば変われたかな/変わり合えたかな/ここにいたかな》と疑問形で終わっていたり、まさにタイトルで“あなたは今どこで誰ですか?”と尋ねていたり、迷っている真っ只中にいるのが伝わってくるのだ。ただ、その迷いを自分たちで吹き飛ばすようなスリーピースのアンサンブルは、過去最高に力強くて頼もしい。(後藤寛子)
『ROCKIN'ON JAPAN』2020年11月号より