デビュー15周年で10作目となる新作をバンドの頭文字から『F』と名づけた。このことからも、今の彼らの決意と自信が感じられる。「ウッ、ハッ」と掛け声が入る“LET’S GET IT ON”や祭り囃子のリズムが使われた“Feverman”のユーモア、ホーンの響きが明るい“恋するパスタ”など、彼ら流のポップがつまっている。ライブでの曲名の言い間違いをきっかけに“東京”を作るなど、ところどころに遊び心があるのも
フジファブリックらしい。充実作である。
そのように収録曲は粒ぞろいだが、《今日も走ってる》とアップテンポで歌う“High & High”を7曲目とする一方、ゆったりとしたリズムの“Walk On The Way”から始まるなど、前半にわりと落ち着いた曲を並べている。自分たちは、これからもしっかりと足元を踏みしめて歩んでいく。節目の新作で、まずそのことを示してから、多彩な技を披露するという印象の曲順である。特に3曲目“手紙”は、故郷の人に宛てたようであると同時に、故・志村正彦に語りかけているようにも聴こえる。15年のキャリアの重みが伝わる感動的な歌だ。(遠藤利明)