US屈指の強者たちの饗宴

ANYWHERE『ANYWHERE Ⅱ』
発売中
ALBUM
ANYWHERE ANYWHERE Ⅱ

アット・ザ・ドライヴ・インマーズ・ヴォルタのセドリックによるニュー・プロジェクト、という触れ込みで当初は騒がれた感があったエニウェア。しかし、マイク・ワットらが名を連ねた11年のデビュー・シングルを皮切りに、そのラインナップはあれよという間に強靭化していった。メルヴィンズのデイル・クローヴァーや元ニルヴァーナのクリス・ノヴォゼリックをはじめ、USオルタナティブ/アンダーグラウンドの強者たちが次々と出入りする展開に。今作はセカンド・アルバム。クレジットされたプレイヤーは総勢17名に及ぶ。

感触としてはマーズ・ヴォルタと地続きの、さらにはカンやペンタングル、あるいはフラワー・トラベリン・バンドもその延長線上に想起させるプログレッシブでサイケデリックなフォーク・ロック・サウンド。楽曲ごとに面子や楽器を変える演奏はフリーフォームだが、8分台の長尺も揃えた曲構成の重量感は相変わらず。なかでも今作において存在感を示しているのが、13年のEPから参加しているスリーピー・サンやハウリン・レイン、元コメッツ・オン・ファイアーの面々。いずれも2000年代を通じてフリー・フォーク界隈やストーナー系のブルース・ロック・サウンドで名を馳せてきたバンドであり、かれらの貢献が今作の演奏にさらなる厚みを与えている。オープニングの“Bone Flute Blues”や“LightThe Portals”はその本領だろう。

他にも新顔としては、トランズ・アムのフィル・マンレーが参加。さらにアメリカの女性トップ・モデルが1曲歌っている……と、かように坩堝めいた様相を呈した今作。が、ここには、USロックのディープ・スポットを巡る縮図が示されているようで興味深い。(天井潤之介)



『ANYWHERE Ⅱ』の詳細はこちらより。

ANYWHERE『ANYWHERE Ⅱ』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」7月号に掲載中です。
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ANYWHERE ANYWHERE Ⅱ - 『rockin'on』2018年7月号『rockin'on』2018年7月号
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