歯切れよいギター・リフを軸にグラマラスに広がる“ビルマニア”。エロチックに身体をクネらせてくれるサウンドも勿論この曲の魅力だが、特筆したくなるのが言葉の切れ味! 「ビルマニア」という、意味が分かるようでいて謎だらけの言葉をアクセントとしつつ、曲の世界がビビッドに描写されてゆく様が堪らない醍醐味なのだ。都会の象徴とも言うべき「ビル」+何かに魅せられている人を表わす「マニア」。意表を衝く言葉同士の交配によって醸し出されるのは、都市の妖しい美しさ。この独特な言葉をスパイスとしてちりばめながら、都会で暮らす人間の欲望や幻想をミステリアスに映し出してゆくのが、“ビルマニア”のワクワクさせられるポイントだ。漂っているシュールな香りに酔わされて、何だかイケナイことを体験したかのようなモゾモゾ感が聴いた後に残る。無数の魅力を持っている吉井和哉だけに、ともすればあまり意識しなくなりがちだが、思い返してみれば彼は言語感覚もハンパではない。最近だと“シュレッダー”というタイトルが強烈だったし……。今回の曲で、改めて彼の凄味を強烈に喰らった。(田中大)