まさにブレイクスルー

ナッシング・バット・シーヴス『ブロークン・マシーン』
2017年09月13日発売
ナッシング・バット・シーヴス ブロークン・マシーン
感情のコントロールが利かなくなったように掠れ、震えながらも昂っていくコナーのボーカルに圧倒された“アムステルダム”を筆頭に、ナッシング・バット・シーヴスのセカンドとなる本作は、2年前の前作にあった静と動のコントラストをさらに極限まで押し広げたアルバムとなった。しかも前作時にはアルバム音源と破天荒なライブの間に大きな差があったが、本作ではライブの熱量が大前提になっている。その結果として楽曲によってはバランスが崩れ、歪み、亀裂が入ったとしても、リアリティに肉薄する自分たちの意思としてそれらを肯定していく、そんな生々しい息づかいが本作には宿っているのだ。不完全美の代名詞である「金継ぎ」がアートワークに採用されている点においても、本作のコンセプトは明らかだろう。
楕円球があちこち跳ねるような不可測なリズムと、パーカッシブなボーカルがスリルを生む “リヴ・ライク・アニマルズ”、まさにデザイン外、規定外の広がりを持つ“アイム・ノット・メイド・バイ・デザイン”あたりがハイライト。一方、“ソーリー”のように凄まじい緊張感の中で美観を保っているポップ・ソングも健在だ。 (粉川しの)
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