GOOD ON THE REELの音楽の魅力は「ムードの描写」とでも言うべき部分にある。現実世界での人間の感情が、「喜怒哀楽」という4つの分類にキッチリ収まるものではないことは、誰もがよく知っているだろう。楽しいけど不安がよぎったり、悲しいけど少し幸せでもあったり、怒っているのに吹き出しそうになったり、泣いているくせに夕飯について考えていたり。矛盾、出鱈目、曖昧さに満ちた動きを示すのが人間の心だ。今作は、まさにそういうものを的確に映し出す。例えば “小さな部屋”は、生活臭の漂う部屋の朝から夜までの様子が展開し、その空間で過ごす人物の具体的な感情は殆ど描写されない。しかし、主人公の胸中で芽生えつつある決断が、散らかり気味の部屋の風景の向こう側から確かに伝わってくるのが面白い。歌詞は勿論だが、心地よいコードの響きを効果的に多用したサウンドも様々な事柄を物語ってくれる。ギターロックの快感は、飛び跳ねて盛り上がることだけにあるわけではない。彼らの音楽が届ける「浸る」という穏やかな喜びは、ますます多くのリスナーの支持を集めていくと思う。(田中大)