米サン・ディエゴで18年前にスタート、ポスト・ハードコアからポスト・ロックへと脱皮し、以降もアンビエント、フォークトロニカ、ニュー・エイジ……と話法を増やしながらマイ・ペースに独自の音のランドスケープを描き続けているアルバム・リーフことジミー・ラヴェル。フル・アルバムとしては6年ぶりになるが、間に発表された『フォーワード/リターン+トーリーズ・ディストラクション』で前作『ア・コーラス・ストーリーテラーズ』期を締めくくったと考えれば、本作は新たなフェーズの始まりと言える(レーベルもサブ・ポップからリラプスに移籍し心機一転している)。
その意味でも期待は大きかった。持ち前のメランコリックなメロディと優雅なサウンドはそのままに、ヒップホップ〜テクノ系の緻密なリズム構築を起点に置いたグルーヴ重視・メリハリの効いた作風で確実に新境地を拓いている。ジミーはドラマーでもあるので不思議ではないとはいえ、アルバムにおける彼の第一楽器とも言えるローズ・ピアノを抑えたこのアプローチは安全圏を出るのを厭わない=コンポーザーとして停滞しない意志を感じさせる。新たなクリエイティヴィティを手にどこまで伸びるか、楽しみだ。(坂本麻里子)
リニューアルされたキャンヴァス
アルバム・リーフ『ビトウィーン・ウェイヴス(初回盤)』
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