ブルース・スプリングスティーンが1980年にリリースした2枚組の大作『ザ・リバー』がボックスとなって再発。オリジナル盤の最新リマスターに加え、当時いったん完成したにもかかわらず発売が中止された幻のアルバム『ザ・タイズ・ザット・バインド』を初作品化したものと、アウトテイク22トラック(※そのうち半数が完全未発表)を集めたボーナス・ディスクが付き、さらにボス本人が制作時を回顧するドキュメンタリーに、おそらく彼のキャリアでもひとつのピークを示す内容と言える同年11月のライヴを2時間半以上も収録した映像がセットになる。
30代を迎えたブルースが、己の歌と音楽をいっそう深めようと非常に意識的になっていた事実があらためてよく分かるし、そのために生み出された楽曲がこれほど大量に埋もれていたのかという事実にもひたすら圧倒されてしまう。そして、ライヴ映像の方は、ボブ・クリアマウンテンがサラウンドも含めミキシングを手がけ、最高峰のステージを最良の形でパッケージ。80年代のアメリカン・ロックが、どれだけこの人に負うものが大きかったかを今さらのようにひしひしと実感した。(鈴木喜之)
ヴォリュームが証明する真実
ブルース・スプリングスティーン『ザ・リバー・ボックス~THE TIES THAT BIND: THE RIVER COLLECTION』
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