昨年末12月31日に更新された中野のブログで、川島が4度目の脳腫瘍を再発、一時は余命宣告を受けるも治療法が見つかり、腫瘍の拡大を防ぐことに成功したことが明かされた。この約2年ぶりのニューアルバムは、その病の再発と治療を経て産み落とされたものだ。
BBSは常に完璧な形の音楽を求め、そのスキルとセンス、死生観とも言えるバンドの哲学を鍛え上げてきた。そしてそのストイックさこそが、彼らの信じる美学だったのだと思う。今回、命というものに向き合わざるを得ない状況で彼らが選んだのは、その美学をただ全うすることだった。一音一音、極限まで純度高く研ぎ澄まされたこの11曲は、激しくも荘厳で、何よりも美しい。後半“BLIND BIRD”から“EMERGENCE”の、光に包まれるような力強いエネルギーを湛えた川島の歌と、ミニマルなサウンドや残響音が生み出す、神聖で穏やかな開放感。このエンディングには、これまでの作品にはなかった「幸福」が宿っている。生命の強さと音楽の美しさ、そしてそれに立ち向かい続けてきたBBSの歴史がわかち難く結ばれた、彼らの最高傑作。(若田悠希)