約6年ぶりの念願の来日が、「1日2部制アコースティックセット」という特別なイベントになったベック。「ベックのアコースティック」と言えば、初期のローファイ作や『シー・チェンジ』期の洗練されたフォークにように、すぐに連想できる既存のフォーマットがある。しかし、この日のステージが素晴らしかったのは、彼のプレイが事前に予想可能なフォーマットを大きく超えた広がりを持っていたことだった。
ベックにとって弾き語りは原点だが、単なる原点回帰ではなかった。ミニマル&モノトーンな原点からカラフルに花開いていった彼の音楽性を、再びミニマル&モノトーンに引き戻すのではなく、ミニマルかつカラフルな新境地を見せてくれたのが、今回のアコースティックセットの醍醐味だったと思う。
ロッキング・オン最新号ではEX THEATER ROPPONGIで行われた同公演1部のライブレポートを掲載、キャパ2000人に満たない(ベックとしては)親密な小空間で繰り広げられた、その貴重なパフォーマンスを振り返っています。本誌と共にぜひライブの余韻を楽しんでください!(粉川しの)
ベックの記事が掲載されるロッキング・オン6月号