現代のUSインディロックを代表する存在となったビッグ・シーフの「心」としてバンドのイマジネイティブな世界を作り上げてきたシンガーソングライター、エイドリアン・レンカーの新作ソロアルバムが素晴らしい。
歌ものとインストにわけられた2020年リリースの『ソングス』、『インストゥルメンタルズ』の成果がひとつになった6作目『ブライト・フューチャー』は、彼女の内面的な探究がさらにきめ細やかで温かいフォーク音楽として昇華された一作だ。それは、ビッグ・シーフの最高作『ドラゴン・ニュー・ウォーム・マウンテン・アイ・ビリーヴ・イン・ユー』の「次」を示すものでもある。
ロッキング・オン5月号では、そんな『ブライト・フューチャー』についての論考を掲載している。ニック・ハキム、マット・デビッドソン、ジョセフィン・ランスティーンといった表現力豊かなミュージシャンとともに、フィリップ・ワインローブと共同プロデュースで作り上げたアルバムの親密さはどのように生まれたのか。
そして、エイドリアンが描く「輝ける未来(ブライト・フューチャー)」とは何なのか。この美しく人間的なアルバムを、ともにじっくりと味わってほしい。(木津毅)
エイドリアン・レンカーの記事が掲載されるロッキング・オン5月号