今年もカリフォルニア南部インディオで4月の3日間×2週にわたって繰り広げられた世界最大規模のフェス=コーチェラ。YouTube配信でたっぷり堪能した第1週の模様を、雑感として纏めておきたい。
まず、ラナ・デル・レイ、タイラー・ザ・クリエイター、ドージャ・キャットという3日間のヘッドライナーはいずれもスター性抜群で、他の出演アクトも素晴らしいパフォーマンスを繰り広げた。ただ、昨年のバッド・バニーやロザリアといったラテンポップの勢いを思い返すと、今年は分かり易いトレンドの記号が見え難く、多様な表現によって混沌とした印象の開催になったことは否めない。
コーチェラ・バレーに海辺のゴシック邸宅を出現させるようなステージセットで、いつでもワン&オンリーの静かな情念を伝えるラナは、サプライズでビリー・アイリッシュとのデュエット歌唱も盛り込みながら混沌を纏め上げた。
荒野のキャンプを思わせるタイラーのステージは、トレーラーハウスから爆発と共に飛び出してくるオープニングからして漫画ばりにエンタメ性全開。
ドージャは数え切れないほどの早着替えから蠢く巨大な恐竜骨格、果ては泥にまみれながら妖艶に踊り歌うフィナーレまで、これぞコーチェラの大舞台という熱演を完遂した。
特筆すべきは、ノー・ダウト9年ぶりの復活である。大歓迎ムードのオーディエンスの中、大所帯編成で華々しくもタイトな西海岸ミクスチャーパンクが吹き荒れる。限定的な再結成であることが勿体無いと思うほどだ。また、ブラーが現地の先住民族コーラスグループと共演し、メキシコのアーティストたちも大活躍した今回の開催は、カリフォルニアというポップミュージックの風景について再考を促すテーマが横たわっているように思えた。
K-POPやJ-POPの気鋭たちもがっつり受け入れ盛り上がるコーチェラこそ、今のカリフォルニアの音楽風景なのだ。そして注目のザ・ラスト・ディナー・パーティー。曲の良さと見目麗しさに加え、ライブだからこそのロックな熱量と切れ味は想像以上であった。 (小池宏和)
コーチェラ・フェスティバルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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