現在発売中のロッキング・オン1月号では、コールドプレイの来日ライブレポートを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=粉川しの
もしも、ロックバンドのライブを世界一のエンターテイメントに仕立て上げることができたら。ライブパフォーマンスの枠を超えた、未知の体験と空間に数万人の観客を誘うことができたら。スタジアムを愛と祝福のメッセージで、埋め尽くすことができたら。環境負荷を限りなく減らし、地球に優しいスタジアムコンサートを実現できたら……
そんな幾つもの「if」を、絵空事だと鼻で笑われかねないアイデアの数々を、全身全霊を捧げて一つ一つ実現していった驚異的な2時間。それがコールドプレイの最新ツアー、「ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ」だった。
今も昔も、コールドプレイは常に真顔で理想郷としてのライブ空間を作り続けてきたバンドだが、今回のツアーほどその理想郷の具現化に近づいた瞬間はなかったし、彼らの堅固な意志が、私たちにここまでそれを「信じさせた」こともなかったのではないか。
実に6年ぶりの来日公演であり、今回初めてコールドプレイを観たというオーディエンスも少なくなかったはずだ。ちなみに前回の来日は前々作『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』を提げての公演で、ドームのスケール感を最大限活用し、テーマパークのようなステージを作り上げる、という前回の前提は今回にも踏襲されていた。
もっと言えば、全てが巨大で、スペクタクルで、荘厳で、時に狂気を孕みさえして、そして美しいという、彼らのコンサートの一種の過剰さは、ザイロバンドが初めて導入された『マイロ・ザイロト』のツアー以来、ずっと変わらぬものでもある。
しかし今回は、その過剰さに初めて正当な理由が与えられたツアーだった。つまり、「宇宙」というコンセプトを持ったことによって、彼らが現前させようとしているこの世ならざる風景に、必然と呼ぶべきものが生まれていたのだ。(以下、本誌記事へ続く)
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