1997年に米・ロサンゼルスで産声をあげ、今やエレクトロニック・ダンス・ミュージック・フェスティバルの代表格となった「EDC(Electric Daisy Carnival)」。
2017年からは日本にも「EDC Japan」の名前で上陸し、今年も5月11日と12日に、千葉県千葉市美浜区のZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場で開催された「EDC Japan 2019」の模様を、4つのステージそれぞれで振り返ってみたい。
まず、メイン・ステージとなるKinetic Fieldには、今年もティエスト、アーミン・ヴァン・ブーレン、KSHMR、Tchami B2B DJ Malaa、ポール・ヴァン・ダイクという、「EDM」というカテゴライズに囚われないダンス・ミュージック・シーンのトップランナーが集結。
また、アリソン・ワンダーランド、Ookay、そして日本初登場のExcisionといったアクト達も、エッジーなダブステップを盛り込んだ選曲で場内の祝祭感に満ち溢れた空気を、またたく間に沸点まで上昇させていた。
世界最高峰のDJ達のプレイ、そしてそれを待ちわびた多くのオーディエンスで、2日間に渡って、電子音の洪水、圧倒的な規模のステージ・セットと特殊効果、更にそれらのケミストリーがもたらす圧倒的な高揚感を体感させてくれる空間となっていた。
続いては、ビーチ近くに設置されたCosmic Beach hosted by HARD。
2019年は、米・カリフォルニアで開催の、ヒップホップ&ベース・ミュージックを中心としたラインナップの音楽フェス:「HARD Summer Music Festival」の主催チームが監修したとあって、こちらのラインナップも2日間に渡り「超」がつく強力な布陣が揃っていた。
スクリレックス、メジャー・レイザーといった日本でも大きな人気を獲得しているアーティストのみならず、RL Grime、Jauz、Whethan、そして、こちらも日本初登場となるUSの超人気ラッパー:フューチャーといった、「HARD」が築いてきたコネクションをすべて投入したかのようなラインナップを心待ちにしていたファンも多かったことは会場の歓声が物語っていた。
夜間はかなりの冷えを感じるステージではあったが、タイムテーブルの最後のアクトの音が止まるまで、終始オーディエンスの熱気と極太のベースラインに包まれた空間となっていた。
そして、Kinetic Field近くに位置するNeon Garden hosted by Factory 93。
こちらはロサンゼルスを中心に、数多くのテクノやハウスといったジャンルのイベントを開催している「Factory93」チームが監修したとあり、Marcel Dettman、Josh Winkの2大テクノ・ヒーローを筆頭にペギー・グー、wAFF、Artbat、Meléといった注目株までを招聘。
ディープかつ、途切れることなく続く中毒性の高いグルーヴで、テクノ・ハウス・ファンを中心に多くのオーディエンスにステップを踏ませ続けていた。
また、移動式のDJステージとなったBoombox Art Carは、国内で活躍するDJ中心のラインアップで、4つのステージの中でも最も親密な空気をオーディエンスと創り出していた様に感じた。
振り返ってみれば、当初は2016年に初開催を予定していた「EDC Japan」は、「可能な限り最高の体験を目指す」ということで開催を延期し、2017年に満を持して開催を迎えた経緯がある。
その後も、昨年開催の「EDC Japan 2018」において、2日目は大雨(というか、ほぼ台風レベルの風雨)にさらされ、ハードな経験をしたファンも多いと思うが、反面、2019年は2日間とも快晴の下に開催されたことは、天からの大いなる祝福だったと個人的に感じている。
4つのステージそれぞれでEDM、トランス、テクノ、ハウス、ダブステップ、トラップ、ムーンバートン、ドラムンベース、ヒップホップと多種多様なダンス・ミュージックが流れ続ける2日間の中で、最新のEDMヒット曲の中に、AC/DC “Thunderstruck”やダフト・パンク“ワン・モア・タイム”といった歴史に残るヒット曲のリミックスが流れ、老若男女がそれらに歓声をあげる光景も高い好感をおぼえさせてくれ、また痛快なものであった。
「EDC Japan」という2日間だけ出現する音楽の桃源郷、来年の開催も今から心待ちにしていたい(伊藤哲)
「EDC Japan 2019」は、ゴージャスな多幸感に包まれたダンス・ミュージックの祭典だった!――最新系ポップとレジェンド級ヒット曲のケミストリーが爽快な、祝祭の2日間を振り返る
2019.05.16 20:20