今年60周年を記念するNY映画祭が、現在開催されいてる。
そのオープニングに、ノア・バームバック監督、アダム・ドライバー主演の新作『ホワイト・ノイズ』が上映された。これは、1985年に出版されたドン・デリーロ著の現代アメリカ文学を代表する同タイトルの名作を元にした作品だ。
この作品のエンドクレジットに、LCDサウンドシステムの5年ぶりの新曲”new body rhumba"が流れる。そのエンディングのシーンは、かなりシュールかつ物語においても重要で、そこで彼らの新曲が1曲丸々使われている。曲はすでに公開済みだ。こちら。
5年ぶりということもあり、いきなりの新機軸というよりも、曲全体でLCD節が響き渡っている。
この作品のプレス用試写の後に記者会見もあり、監督も、ジェームス・マーフィーも登場し、この曲について語ってくれた。
―― LCDの曲が使われている映画の終わりが、原作にはないが、ミュージカルのようになっていることについて。
バームバック監督「この作品は小説に基づいて作られているので、本編は言葉を主体にした文学的な内容となっているが、それでいて脚本を書いている間に、言葉を使わない何かをしても良いという許可をくれたようにも思えた。純粋に映画的であるようなことを。つまり、本能的で、喜びがあって、エキサイティングで、生命と死を同時に祝祭するような何かをね。
それで振付師のデヴィッド・ニューマンに声をかけて、それからジェームス(・マーフィー)のところにお願いに行った。それでその時に思ったのが、もしジェームスが80年代に生きていたら、いや彼は80年代に実際生きていたけど、もし彼が80年代に音楽を作ったら、いや、彼は実際80年代にも音楽を作っていたわけだけど(笑)、もし僕が彼が80年代に作った音楽を聴いていたら―― 」
ジェームス「僕たち同じ歳なんじゃないの」
監督「53歳?52歳?じゃあ僕が1歳年上だ。とにかく彼にお願いしたのは、その当時にヒット曲にしたくて書いただろう曲を書いて欲しいって言ったんだ(笑)。ヒット曲を作れ、と言うところは言わなかったけど。そんなこと言ったら彼が倒れると思ったから。ジェームスとは過去の作品『ベン・スティーラー人生は最悪だ!』で仕事をした時から、すごく仲が良くなったんだ。それで彼には、『死を描いた楽しい曲を書いて欲しい』とお願いしたんだ」
ジェームス「本当にパニックになって倒れそうだったんだ(笑)。とは言え実際はすごく楽しい体験で、僕が音楽を手掛ける映画は、彼の監督作くらいだしね。それに彼とは友達でもあるから仕事も楽だし。前回の時も似たような体験だったから、これが映画の音楽作りなら、すごく楽しい、って思えるくらいだった。
この曲は、当初は、もう少し違う方向性の曲を作って欲しいと言われていたから、それでレコーディングしていたんだけど、最終的には少し変わったんだよね。それで曲がよりアップテンポになった。
僕は曲が書き終わって、レコーディングも終わった瞬間って大好きなんだけど、でも曲作りそのものはめちゃくちゃ嫌いでね(笑)。普段は、曲作りに時間がかかったりすると自分で自分がダメだなあって思うだけだけど、でも、仲の良い友達のすごく大きなプロジェクトで、曲作りに時間がかかったりした場合は、本当に最悪な気分になってね。だけど、その友達が、『どんな感じ?時間がかかっても気にしなくていいよ。そのうち必ずできるはずだから』って言ってくれたりしたから、本当に貴重で。でも、その曲がどんなシーンで使われるのかを考えても、そう言わなかったら、より時間がかかってしまうということも彼は分かってくれていたんだよね(笑)。そんなわけで曲が完成するのにすごく長い時間がかかったけど。でもとうとう完成して本当に嬉しいんだ」
―― また彼はツイート上でもこの曲についてコメントしている。
「ノア・バームバックにまた曲を書いて欲しいと頼まれた。今回は、最高の新作『ホワイト・ノイズ』のためだ。僕ら2人とも原作は読んでいたし、友達だし、そんなわけで引き受けた。とうとう1ヶ月前に映画を観て、大好きだったんだ。だからどうもありがとう、ノア。曲のタイトルは”new body rhumba"って言うんだけど、なぜかは聞かないでくれ。
それから、ジャケ写について様々な憶測が飛び交っているけど、これは、2000年のハロウィンの時に作った友達のsteve nebesneyの顔のマスクを僕がかぶっているだけなんだ。彼とは80年代にゴスバンドを一緒にやっていて、それ以降は、Dfaでstevie ODというパンクバンドもやっている」。彼の写真が至るところにあったから、使ったということだ。
さらに、LCDは、再びブルックリンでなんと20回のレジデンシーライブも行うと発表。「自分たちが歳とっていることに気付いてなくて、20回公演をやるのは良いのでは、と思ったからなんだ」。
―― ちなみに、『ホワイト・ノイズ』では、ダニー・エルフマンがスコアを手掛けている。
「自分がなぜ映画のスコアを書くのが好きだったのか思い出させてくれた」と、今回の監督とのコラボを絶賛していて、さらに「監督がこの映画について僕に最初に言ったことは、『この映画はあなたのために作られています。全ては死についてであり、死の恐怖についてだからです(笑)』だった。彼は間違いなく正しい。僕の得意とするテーマだからね。僕がこの映画について知りたかったことはそれ以上はなかったんだ(笑)」。
映画の予告編はこちら。NETFLIXで、12月30日から配信が開始する。
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