4月の終わりから6週間続いたジョニー・デップと元妻アンバー・ハードがお互いを名誉毀損で訴えた裁判がようやく終わった。結果的には、ジョニー・デップが訴えた3つの訴因全てで勝訴した。
ジョニー・デップは、アンバー・ハードがジョニデの名前は出していないものの「虐待を受けた」という寄稿をワシントン・ポスト紙にしたことを受けて、名誉毀損でアンバーを5000万ドルで訴えた。また、アンバーも、ジョニデの弁護士が彼女の記事が事実でないという訴えたことに対して、同じく名誉毀損でジョニデの額の2倍の1億ドルで訴え返していた。
結果は、アンバーの記事が事実ではないと認められ、ジョニデが1500万ドルで勝訴。ただし州の規則で、1035万ドル(約13.5億円)に減らされてアンバーが賠償金を払うことが命じられた。
またアンバーも完全に負けたわけではなくて、ひとつの訴因で1億ドルのうち、200万ドル(約2億6000万円)の賠償金がジョニデより払われることになった。しかしこの訴因ひとつは非常に小さいもので、ほとんど意味がないとテレビの解説でもコメントされていた。
実際、ジョニデも「真実は死なない」と勝利宣言をし、ジョニデの弁護士も、「圧倒的な勝利」とコメントしている。アンバーは「負けて悲しい」とコメントしている。
1)裁判中もミュージシャン仲間はそれまで同様ジョニデとの友人関係を続けていた。ポール・マッカートニーは、全米ツアー中もジョニデの映像を映し出していて話題になっていた。
このビデオをポストしたのはエディ・ヴェダーの妻のジルで、ジョニデのことを「ジェントルマンとしてしか知らない。もちろんME TOOムーブメントをサポートするが、無実で良い男性を破壊する女性がいることも知っている」とコメントしている。
2)またコートニー・ラヴもコメント。
「ジョニーは1995年に私がオーバードーズした際に、心臓蘇生法をしてくれた。それから私がクラックをやっていたせいで、フランシスがソーシャルワーカーとの問題を抱えていた時に、彼女の誕生日に、ソーシャルワーカーがうろついている学校にリムジンで送ってくれて、お願いしたわけでもなかったのに、彼女と彼女の友達全員を『パイレーツ・オブ・カリビアン』に招待してくれた。椅子には、フランシスの名前まで書いてあった。彼女が13歳になった時、私に『彼が私の命を救ってくれた』と言った。(ジョニーに)アイ・ラブ・ユー」
さらにアンバーは裁判中からTikTokなどでかなり笑いものにされていたので、
「私はTikTok以前に、アメリカで最も嫌われた女になったことがあるし、世界で最も嫌われた女になったこともある。だからアンバーが今どんな気持ちかを考えるとすごく同情する。今の彼女の心境が想像できる? まじであり得ないと思う。だけど、ME TOOムーブメントを自分の利益のために利用したり、自分のクィアとして立場を利用したら……公平な判断が下されることを願う」。
3)ジェフ・ベック
ジョニデは、判決を待たずにイギリスに渡り、ジェフ・ベックのライブでステージ立っていた。
判決もイギリスから見ていて、判決の後に、再びジェフ・ベックのステージに立ち、会場からは大喝采を浴びたそうだ。
また裁判中には、マリリン・マンソンとコカインをやっていた話や、キース・リチャーズのドキュメンタリー撮影にジョニデがドラッグをやりすぎ、酒を飲みすぎて遅刻しそうだったので、なんとか早く現場に行くようになだめたとか、彼が参加していたアリス・クーパーとのバンド、ハリウッド・ヴァンパイアのリハーサルの話なども出て来た。
私も時々見ていたけど、本当にあまりに醜い争いで、見ていて辛くなることが多々あった。
ジョニデは、自分は人生で女性を殴ったことは一度もない、と証言し、アンバーは、ジョニデに殴られたと証言したので、2人は最初から真っ向から対立していた。
つまり、今回の陪審員は、どちらが言っていることが本当で、どちらが嘘を付いているのか?を判断しなくてはいけなかった。かなり難しかったと思う。しかし、結果、アンバーが記事で書いたことが真実ではないと決めたわけだ。ジョニデがアンバーを虐待した証拠はないということ。
ジョニデは、これまで私生活については、可能な限り公にしてこなかったのに、今回の裁判で、子供の頃に母から受けた虐待から、2人の子供の母であるヴァネッサ・パラディと別れた理由、さらに、アンバーと結婚してからの耳を塞ぎたくなるようなジョニデのアル中、ドラッグ中毒から、お互いの罵り合いの内容など何から何まで公になった。本当に醜い争いだった。
ただ、ジョニデは初めから一貫して、自分はこれまで公にしてこなかったプラベートを全てここで晒してまでも、真実を明らかにしたかった、と語っていた。理由は、アンバーが、ジョニデに殴られたと言って顔にアザができた写真を雑誌の表紙にした時、子供たちが学校で女性を殴る父親の子供だと言わたことが本当に辛かったからと。
だから今回の判決の後も、以下の声明文を発表。
「(自分がアンバーを虐待したと書かれた記事が世に出回ってから)6年後に、陪審員が私の人生を取り戻してくれた。心から感謝している」
(自分の人生が世界に公になってしまうと知りながらも)
「この裁判をすると決めたのは、結果がどうなろうとも、真実を明らかにしたかったからだ。真実を語ることは、子供たちのために私がどうしてもやらなくてはいけないことだった。それから、何があろうとも私を支援し続けてくれた全ての人たちのためにも。今ようやくそれを達成できて安心している」
「これからとうとう新章が始まる。真実は絶対に死なない。
ジョニー・デップ」
今回の判決について色々なメディアが分析しているけど、最終的には細かい証拠よりも、アンバーの証言に一貫性がなく、彼女がいくつかの嘘をついていることが証明されたことが大きかったのではと書かれていたりする。
個人的には、夫婦の間で起こったことなので、どうやったって真実は分からないのではと思ったけど、証言の仕方だけを見ていると、アンバーは大袈裟に見えたり、どうしてもジョニデが真実を言っているようにしか見えなかったのは事実だ。
またアンバー側の証言者は、昔の親友などが出てくるのだが、もう今は友達じゃないと言って、大事な証言なのに、嫌々やっていたりするのに対して、ジョニデ側は昔の彼女で大スターのケイト・モスなどが喜んで証言。ジョニー・デップに殴られたことは一度もないし、階段から滑った時は抱き抱えて部屋に連れて行ってくれて手当てをしてくれた、など語っていて、かなり印象が違った。
ケイト・モスの証言映像はこちら。
ジョニー・デップは今回、私生活が明るみに出て相当のダメージだったと思うけど、裁判中に明らかに彼への同情が集まり、圧倒的な人気を得ていたし、元々の才能があるので、これからすぐにでも新章が始まるのではないかと思う。
アンバーは、『アクアマン2』に出演しているのでそれがどうなるんだろうか。この作品は来年公開されるが、アンバーを降板させるようにすでに450万近くの署名が集まっている。
https://www.change.org/p/dc-entertainment-remove-amber-heard-from-aquaman-2
とりあえず、終わって良かった。
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