オバマ元大統領&スプリングスティーンが人気ポッドキャストを書籍化。スプリングスティーンは伝説のライブ映像を公開。

オバマ元大統領&スプリングスティーンが人気ポッドキャストを書籍化。スプリングスティーンは伝説のライブ映像を公開。

アメリカではポッドキャストをやっていない人がいないというくらいポッドキャストだらけだが、オバマ元大統領とブルース・スプリングスティーンというそれ以上の上ってないだろうという組み合わせでのポッドキャストが今年の始めにSpotify独占で公開された。


https://open.spotify.com/show/42xagXCUDsFO6a0lcHoTlv?si=bab5d3fb22aa4f0c

8回のシリーズだったが、それが最近豪華本になって発売された。それでこの2人が、最近プロモーションのためいくつかのTV番組に出演している。

スプリングスティーンは、オバマ元大統領からポッドキャストをやろうと電話がかかってきた時、「間違い電話かと思った(笑)」と語っている。
「彼は、コロンビア大学卒、シカゴ大学ロースクールで憲法学を教え、アメリカ初のアフリカ系アメリカ人の大統領であり、俺は、ギター弾きだ。ニュージャージー州出身の高卒の俺と…..えっ?ってね(笑)」

オバマ元大統領は、スプリングスティーンと最初に会った時の印象を「驚いたことにシャイだと思った。普段は、何万人もの前で何時間も歌ってる人だと考えるとね。だけどその時、アメリカ人であることの意味などについて長い会話を交わしたりして、これはみんなに聞いてもらう価値があると思ったんだ」と、ポッドキャストを開始した理由について語っている。

それ以前に、オバマ元大統領にスプリングスティーンともっと親しくなった方がいいと勧めたのは、ミッシェル・オバマだったとポッドキャストの1回目で語っていた。スプンングスティーンが、自分の間違いや欠点を自分で把握し告白しているのを見たミッシェルから「あなたにはそれがないから(笑)」と言われそう。

スプリングスティーンはトークショーなどにも出演し、その中で11月19日に世界同時発売される『ノー・ニュークス・コンサート1979』の映像も紹介。さらに、このコンサートでも歌われた”ザ・リバー”をパフォーマンスした。

”バッドランド”と、”愛しのシェリー”の映像も公開されている。
https://youtu.be/LzsAPhGpMkA

https://youtu.be/eFE78WbrZjc

インタビューでは、このコンサートが9月19〜23日に行われ、23日はスプリングスティーンの30歳の誕生日だったため、ステージ上でのその時の様子も紹介されている。

まず、このライブ映像について以下のように語っている。

「このコンサートは、ジャクソン・ブラウンに誘われて出演したもので、脱原発を訴えるために行われたチャリティだった。当時、スリーマイル島原子力発電所事故が起きたため、出演することを決めた。トム・ペティ、ジャクソン・ブラウンはじめ、チャカ・カーン、ジェームス・テイラー、ボニー・レイットなど、素晴らしいミュージシャンたちがたくさん出演した。

俺たちは、マジソン・スクエア・ガーデンに2日間出演したと思うんだ。そのうちの1日が俺の30歳の誕生日だった。素晴らしいライブで、Eストリート・バンドと1時間半演奏した。これから発売される映像はその時のものだ」


このインタビューの中で、そのライブ映像の一部が公開され、スプリングスティーンは観客が「アンコール!」を催促する中、「俺はもう30歳だから体がもたない。無理だ」と言っている。その姿を現在72歳のスプリングスティーンが眺めるという超貴重な瞬間が捉えられている。

スプリングスティーンは、恥ずかしそうに大笑いしながらも、今の自分と30歳の時の自分の違い、また同じところは何かを訊かれ、

「面白いことに、ステージ上では今でもそれほどの違いはないように思う。毎晩ステージに上がったら、上の上まで上り詰めるからね。俺個人としては人間的には今とは完璧に別人だ。30歳の時は、まだ子供だったし、あのステージ上での自分が人生の全てだった。アートと人生の間のバランスがなくて、仕事、仕事、仕事のみだった。でも、基本的には、今でもあの子供が感じているように感じている。全く変わってないよ」


さらに、この日パフォーマンスした”ザ・リバー”については、

「このパフォーマンスの何週間前か、何ヶ月前に書いた曲で、書いた時は29歳だったけど、今でも良い曲に思える。この曲は、その後に作った『ネブラスカ』、『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』、『デビルズ・アンド・ダスト』などに繋がっていく物語の語り方の始まりのようなものだった」


「この曲は夜中に書いたもので、俺はニュージャージー州の農場に住んでいたんだけど、スタジオから帰った来て、きっかけが何だったのかは忘れてしまったけど、たぶん、ハンク・ウィリアムスの曲を聴いていて、『川に行ったら、川が干上がっていた』と歌っていたのが心に残っていたんだと思う。当時妹が、俺の家から30分ほどの所に住んでいたんだけど、俺の両親のような生活をしていた。夫は、工事現場作業員など肉体労働職についていて、しかも、70年代の不況の時期だったから、仕事がたくさんあったわけじゃなかった。だから彼女と夫があの曲の中心部のインスピレーションとなったんだ。それで歌詞の最初を思い付いたら、後は自然にできていった」


またここで、この単行本の前書きで、スプリングスティーンが、「今は、あまりに多くのことが危機に晒されたーーいや全てが危機に晒された、非常に危険な時代だ」と書いているが、その意味を訊かれてこう答えている。
「マージョリー・テイラー・グリーンや、マット・ゲイツ、それから大胆不敵なアメリカ前大統領に、アメリカの未来を任せたい?(笑)」。

さらに、そんな中でどのように希望を持ち続けるのかと訊かれた。

「希望を持って戦っていかなくちゃいけない」と答えている。

「ありきたりだけど、俺には子供たちがいるから、やらなくちゃいけないんだ。それ以外の選択肢はないよ。それに、ジョージ・フロイドが亡くなった後に、ブラック・ライブズ・マターのムーブメントがあり、様々な人種の若者たちがストリートに出たのを見て、希望を得たんだ。

偉大な若者たちの世代が続いている。彼らは、アメリカの民主主義を守ることや投票するという基本的な権利に関心を持っている。現在、危機に晒されているような事柄にね。それが俺の希望なんだ」


スプリングスティーンは、コロナ禍に衛星ラジオでも番組を始めて、個人的にはこれにも随分助けられた。

『ノー・ニュークス・コンサート1979』の日本版発売詳細はこちら。
https://www.110107.com/bruce_1979




ブルース・スプリングスティーンの記事が掲載されているロッキング・オン最新号は11/6発売です。ご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。【予約購入できます】

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