ニール・ヤングが、コロナ禍にコロラドの自宅から"Fireside Sessions"を発表しているが、6回目となる最新の“Porch Episode”が公開された。
こちらで見られる。
https://neilyoungarchives.com/#/movie-night
この中で、ボブ・ディランの“時代は変わる”をカバーしている。
彼の妻のダリル・ハナが毎回iPadで撮影するこのアコギのセッションには毎回テーマがあるが、ニール・ヤングによると、今回のテーマは「時代について」。選ばれた曲は、彼のカタログの中でも政治的な曲、プロテストソングばかりだ。
1972年の『ハーヴェスト』に収録された“Alabama”に始まり、2曲目は“Campaigner”。1976年の曲だが、パフォーマンスされるのはレアで、「ニクソンすら魂がある」とニクソンを同情する曲だ。ジョージ・W・ブッシュ就任中には、「ジョージ・ブッシュすら魂がある」と歌ったこともあったが、ここでは、現在の大統領すら魂がある、とは歌わなかった。
3曲目は“Ohio”。1970年5月4日にケント州立大学襲撃事件が起きてすぐにニール・ヤングが作った曲で、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングとして発表された。アメリカ軍のカンボジア作戦へ抗議するオハイオ州ケント大学の学生をオハイオ州兵が銃撃。非武装の大学生が9人も亡くなった事件だ。今年はそれからちょうど50年にあたる。現在全米で行なわれているプロテストとも重なるところがある。
そしてこの日のハイライトと言えるのは、ボブ・ディランの"時代は変わる”のカバーだ。この曲はローリング・ストーン誌によると1988年にディラン本人と共演で演奏したことはあるそうだが、ニール・ヤングがソロでカバーするのは初めてということ。
https://www.rollingstone.com/music/music-news/neil-young-takes-trump-new-fireside-session-acoustic-concert-1023110/
続く“Lookin' for a Leader”は、2006年の『Living with War』に収録された曲。
オバマが大統領になったのは2009年だが、ニール・ヤングは「リーダーを捜している」というこの曲で、アメリカをより良い方向に向かわせてくれるのは、「オバマかもしれない/彼はまだ自分は若すぎると思っているようだが」と既に歌っている。ここではこの曲を現在の大統領を批判する歌詞に変えて歌っている。
「バラク・オバマはすでに我々の大統領になったが、今一番必要なのは彼なんだ」、「彼の後ろに立っていた人が、今回どうにか大統領になってくれないといけない」、なぜなら「アメリカの今のリーダーは、我が国の周りに壁を作るような人で、Black Lives Matterが何なのか分かってない。だから彼を今回落選させなくてはいけない」、「彼が作った巨大な新しいフェンスのように、彼も倒さなくてはいけない。アメリカは前進するんだ。それをどの町からも感じる。彼は我が国の周りに作った壁に映る自分の影に恐れて、地下壕に隠れている。次にどんな嘘を吐くのか考えているんだ」と。
そして、“Southern Man”と、“Little Wing”で終了する。
ニール・ヤングは、ジョージ・フロイドが殺された後に、2019年の“Southern Man”のライブパフォーマンス映像を公開している。
そこに書いていたコメントは以下。
年取った俺が、50年前の曲を歌っている。これはアメリカで起きている数えきれない人種差別について歌ったものだった。そして今日の我々を見てみろ! これは長過ぎるくらい続いている問題だ。しかも今は、“Southern Man(南部の人間)”で起きているだけではなくてアメリカ中で起きている。本当の変化、新しい法律、新しい警察の法律が必要な時なんだ
ニール・ヤングは、アメリカで投票できるように、最近正式にアメリカ市民になっている。
また、1974~75年に作られてあまりに傷心で発表できなかったという『Homegrown』を最近発表したばかりだ。彼のウェブサイトでストリーミングできる。
https://neilyoungarchives.com/album?id=A_089
https://twitter.com/NeilYoungNYA/status/1275126418263998466