とうとう今週末、2月24日にアカデミー賞が発表になる。今年ノミネートされた人達はこちら。それだけでも快挙。おめでとうございます!
バリー・ジェンキンスが、ここで是枝監督に会い、「レジェンド」とツイートしていた。
1)30年ぶりの司会不在:今年のオスカーは、「白すぎる」オスカー以来、白人ばかりのノミネーションとはならなかったが、開催前にドタバタが多く、様々な意味で混乱の時代であることを象徴していた。まず司会にコメディアンのケビン・ハートが発表されると、彼が約10年前にLGBTQを差別するコメントをツイートしていた上、また彼自身のステージでギャグにしていたことが指摘され批判された。謝罪の仕方も問題視され、結局今年の司会はなしとなった。オスカーが司会なしなのは1989年以来30年ぶり。
クイーンがパフォーマンスすると発表されたが、現時点では、司会がいなくなって恒例のモノローグがなくなったのでその代わりにクイーンのパフォーマンスで幕開けするのでは?と言われている。前回司会がいなかった際も、11分間にわたるミュージカルが披露された。
さらに、過去に司会したウーピー・ゴールドバーグが急遽司会するかも?という噂もまだある。
2)ケンドリック&SZAがパフォーマンスしない:今年は当初オリジナル・ソングにノミネートされた5曲のうち、レディー・ガガとブラッドリー・クーパーの“Shallow”と、ケンドリック・ラマーとSZAの“All The Stars”のみがパフォーマンスされると言われていた。
しかし、5曲ノミネートされているのに2曲は不公平と批判された。そこで我らがレディー・ガガが全5曲パフォーマンスするべきと訴え、結局5曲と発表。しかし、今日になって、ケンドリック・ラマーとSZA はパフォーマンスしないと発表された(涙)。ケンドリックはグラミー賞も欠席している。あの時は、完全に差別に異議を唱えるプロテストだったわけだが、今回もいまだ「白すぎる」オスカーへの反発なのか?オリジナル・ソングは“Shallow”が獲ると予想されている。
パフォーマンスするのは、
ジェニファー・ハドソン“I'll Fight” (『RBG 最強の85歳』)
ベット・ミドラー“The Place Where Lost Things Go” (『メリー・ポピンズ リターンズ』)
ギリアン・ウェルチ&デヴィッド・ローリングス“When a Cowboy Trades His Spurs for Wings” (『バスターのバラード』)
レディー・ガガ&ブラッドリー・クーパー“Shallow”( 『アリー/ スター誕生』)
3)去年のオスカー受賞者がプレゼンターにならない?:通常前年にオスカーを授賞した俳優達がプレゼンターとなるが、助演女優賞を授賞したアリソン・ジャネイがプレゼンターとして招待されてないと発表。これも大批判され、結局去年俳優で授賞した4人はプレゼンターになることになった。オスカーは、視聴率低下を防ぐために時間短縮をしようと試行錯誤しているのだが、どの方法も現時点では批判されている。プレゼンターや作品賞を紹介する人達などが発表されているが、トム・モレロも入っている。
ステージのデザインはこのようになるそうだ。堅苦しい考えばかりが世の中に多いので、流線型にしたということ。しかしこの金色のふわふわした感じが、どうしてもその問題の張本人の髪の毛に見てしまうのですが.......私だけかもしれない。
4)以下、アメリカのメディアの予想を可能な限り集めた。
作品賞
ノミネーション:
『ブラック・クランズマン』
『ブラックパンサー』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『女王陛下のお気に入り』
『グリーンブック』
『ROMA/ローマ』
『アリー/ スター誕生』
『バイス』
予想:
『ROMA/ローマ』(NY Times)
『ROMA/ローマ』(LA Times)
『ROMA/ローマ』(Rolling Stone)
『ROMA/ローマ』(Entertainment Weekly)
『ROMA/ローマ』(IndieWire)
『ROMA/ローマ』(TIME)
『グリーンブック』(Variety)
『ROMA/ローマ』の予告編。
https://youtu.be/6BS27ngZtxg
『ROMA/ローマ』は、 Netflix制作の作品として初めて作品賞にノミネートされた。もし獲れば、外国語映画で作品賞を獲る初の作品となる。
『ブラックパンサー』もアメコミの映画化であるスーパーヒーロー映画として初めてノミネーションされる快挙を成し遂げた。
さらに、スパイク・リーも作品賞にノミネートされたのはこれが初となる。
主演女優賞
ノミネーション:
ヤリッツァ・アパリシオ(『ROMA/ローマ』)
グレン・クローズ(『天才作家の妻 –40年目の真実–』)
オリヴィア・コールマン(『女王陛下のお気に入り』)
レディー・ガガ(『アリー/ スター誕生』)
メリッサ・マッカーシー(『ある女流作家の罪と罰』)
予想:
グレン・クローズ(NYT)
グレン・クローズ(LAT)
グレン・クローズ(R)
グレン・クローズ(V)
グレン・クローズ(EW)
グレン・クローズ(IndieWire)
グレン・クローズ(TIME)
『天才作家の妻 –40年目の真実–』予告編
https://youtu.be/w-GfRcTvurc
グレン・クローズはこれで7回目のオスカーノミネーションとなり、オスカーを獲ったことのない女優としては最多のノミネーションとなる。実は次に多いのはエイミー・アダムスで6回。グレン・クローズがこの予想でいくと授賞しそうなので、エイミー・アダムスが授賞してない最多ノミネーションになる可能性が大だ。
主演男優賞
ノミネーション:
クリスチャン・ベール(『バイス』)
ブラッドリー・クーパー(『アリー/ スター誕生』)
ウィレム・デフォー(『永遠の門 ゴッホの見た未来』)
ラミ・マレック(『ボヘミアン・ラプソディ』)
ヴィゴ・モーテンセン(『グリーンブック』)
予想:
ラミ・マレック (NYT)
ラミ・マレック(LAT)
ラミ・マレック(R)
ラミ・マレック(V)
ラミ・マレック(EW)
ラミ・マレック(IndieWire)
ラミ・マレック(TIME)
『ボヘミアン・ラプソディ』予告編。
https://youtu.be/0UkG8GnfCCY
主演男優賞は、実在の人物を演じた場合オスカーを獲ることが多い。今年のノミネーションを見ても、5枠中4人が実在の人物だ。この10年間を見ても、受賞者は去年のゲイリー・オールドマン(チャーチル)、レオナルド・ディカプリオ(ヒュー・グラス)、エディ・レッドメイン(スティーヴン・ホーキング)、マシュー・マコノヒー(ロン・ウッドルーフ)、ダニエル・デイ=ルイス(アブラハム・リンカーン)、コリン・ファース(ジョージ6世)、ショーン・ペン(ハーベイ・ミルク)と、10人中7人が実在の人物を演じている。
助演女優賞
ノミネーション:
エイミー・アダムス(『バイス』)
マリーナ・デ・タビラ(『ROMA/ローマ』)
レジーナ・キング(『ビール・ストリートの恋人たち』)
エマ・ストーン(『女王陛下のお気に入り』)
レイチェル・ワイズ(『女王陛下のお気に入り』)
予想:
レジーナ・キング(NYT)
レジーナ・キング(LAT)
レジーナ・キング(R)
レジーナ・キング(V)
レジーナ・キング(EW)
レジーナ・キング(IndieWire)
レジーナ・キング(TIME)
『ビール・ストリートの恋人たち』予告編。
https://youtu.be/j46Jm9rD0WA
レジーナ・キングが授賞すれば、黒人の女優として助演女優賞を授賞する8人目の女優となる。
助演男優賞
ノミネーション:
マハーシャラ・アリ(『グリーンブック』)
アダム・ドライバー(『ブラック・クランズマン』)
サム・エリオット(『アリー/ スター誕生』)
リチャード・E・グラント(『ある女流作家の罪と罰』)
サム・ロックウェル(『バイス』)
予想:
マハーシャラ・アリ(NYT)
マハーシャラ・アリ(LAT)
マハーシャラ・アリ(R)
マハーシャラ・アリ(V)
マハーシャラ・アリ(EW)
マハーシャラ・アリ(IndieWire)
マハーシャラ・アリ(TIME)
『グリーンブック』予告編。
https://youtu.be/Wt4KRbTMpzo
マハーシャラ・アリは、『ムーンライト』( 2016年)でもオスカーを授賞したばかり。黒人俳優でオスカーを2回授賞しているのはデンゼル・ワシントンだけ。
脚本賞(Original Screenplay)
ノミネーション:
『女王陛下のお気に入り』
『魂のゆくえ』
『グリーンブック』
『ROMA/ローマ』
『バイス』
予想:
『女王陛下のお気に入り』(NYT)
『女王陛下のお気に入り』(LAT)
『女王陛下のお気に入り』(R)
『女王陛下のお気に入り』(EW)
『女王陛下のお気に入り』(IndieWire)
『女王陛下のお気に入り』(TIME)
『グリーンブック』(V)
『女王陛下のお気に入り』予告編。
https://youtu.be/Ph34Hj26M7s
脚色賞(Adapted Screenplay)
ノミネーション:
『バスターのバラード』
『ブラック・クランズマン』
『ある女流作家の罪と罰』
『ビール・ストリートの恋人たち』
『アリー/ スター誕生』
予想:
『ブラック・クランズマン』(NYT)
『ブラック・クランズマン』(LAT)
『ブラック・クランズマン』(R)
『ブラック・クランズマン』(V)
『ブラック・クランズマン』(EW)
『ブラック・クランズマン』(IndieWire)
『ブラック・クランズマン』(TIME)
『ブラック・クランズマン』予告編。
https://youtu.be/f5GtogjbzTg
スパイク・リーは、特別賞にあたるアカデミー賞名誉賞を受賞しているが、これまでに特定の作品でオスカーを授賞したことはない。今回授賞すれば初となる。
長編アニメ
ノミネーション:
『インクレディブル・ファミリー』
『犬ヶ島』
『未来のミライ』
『シュガー・ラッシュ:オンライン』
『スパイダーマン:スパイダーバース』
予想:
『スパイダーマン:スパイダーバース』(NYT)
『スパイダーマン:スパイダーバース』(R)
『スパイダーマン:スパイダーバース』(V)
『スパイダーマン:スパイダーバース』 (EW)
『スパイダーマン:スパイダーバース』(IndieWire)
『スパイダーマン:スパイダーバース』(TIME)
『スパイダーマン:スパイダーバース』予告編。
https://youtu.be/Fr3IiUvnUhc
『スパイダーマン:スパイダーバース』の監督の1人であるピーター・ラムジーは、黒人の監督としてアニメ部門で初めてノミネートされた。
この『スパイダーマン:スパイダーバース』は、アニメで当初あまり注目されていなかったのだが、公開されたら即大絶賛。個人的にも、実写の『スパイダーマン』すべてを含めても、もしかしたら一番感動したとも言えるくらい素晴らしい作品だったと思う。NYの空気感が最もリアルに表現されていると思うし、音楽も最高。サントラもヒットしている。
監督賞
ノミネーション:
アルフォンソ・キュアロン(『ROMA/ローマ』)
ヨルゴス・ランティモス(『女王陛下のお気に入り』)
スパイク・リー(『ブラック・クランズマン』)
アダム・マッケイ(『バイス』)
パヴェウ・パヴリコフスキ(『COLD WAR あの歌、2つの心』)
予想:
アルフォンソ・キュアロン(NYT)
アルフォンソ・キュアロン(LAT)
アルフォンソ・キュアロン(R)
アルフォンソ・キュアロン(V)
アルフォンソ・キュアロン(EW)
アルフォンソ・キュアロン(IndieWire)
アルフォンソ・キュアロン(TIME)
監督賞に外国語映画の監督が2人ノミネートされたのは史上初だ。
ここまで各メディアの予想が固まっていると予想しがいもないが、これ以外だったら大どんでん返しだったということ。
最新号の『CUT』で、オスカー予想と対談をしているのでぜひ読んでみてください。主要部門は、『ROMA/ローマ』が獲ると予想されているが、全体的にはどの作品も何かしら授賞するという均等な内容になりそうな今年のオスカーだ。
予想したい方はこちらでプリントアウトできる。
日本ではWOWOWで中継される。生中継は2月25日午前8:30から。
https://www.wowow.co.jp/extra/academy/