最近話題の新人類ポップ・アーティストShamirに注目
2015.05.29 15:10
今年のSxSWでも話題になっていたけど、5月にXLから発売されたラスベガス出身、20才のShamirのデビュー作『Ratchet』が新しくて各所で話題になっている。
NYタイムズも「ポップ・ミュージックがShamirに追いついた」とタイトルを出して記事にしている。
http://www.nytimes.com/2015/05/10/arts/music/shamirs-voice-blends-the-best-of-two-worlds-on-ratchet.html?_r=0
何よりその特徴は、ハイピッチのボーカルにDIY的ダンスミュージックではあるけど、なかなか一つのジャンルでは括れないこと。
こちらが ”On The Regular”
こちらまた別のボーカルスタイルを披露した”Darker”
"Call It Off"
オールドスクールのシカゴハウス的とも言えるし、そのカウベルサウンドは、DFA/NYリバイバル的とも言えるし、R&Bとも言えるし。パンクロックとも言えるし、ソウルとも言えるし。ピッチフォークの元ライターがマネージャーだったりするし。その人に呼ばれてブルックリンでレコーディングしているし。
そもそも、音楽を始めたきっかけが16才のテイラー・スウィフトを見て、「何この子、女神みたい?完璧。シンプルだし、服を脱いで体を露出してもいないし、とにかく良い曲を書いているし、16才だし。テイラー・スウィフトになりたい」と思ったからだそうで、だから彼が12、3才の時は、カントリーシンガーを目指してアコギを弾きながら歌を歌っていたそう。その後にインディ・パンク・バンドにも所属。
ボーカルのあり方を、ヴィヴィアン・ガールズや、またコートニー・ラヴのスモーカー的サウンドにしようとしたりもしたそう。
さらに、「僕は少年みたいな見た目で、普通はそこから男に成長していくわけだけど、自分は女性に成長していった」とも語る。実際、「自分は、自然に両性具有なの」と発言していていて、それが彼をアウトサイダーの象徴にもしている。それを祝福することがこのアルバムの最大の特徴でもあるのだ。
歌詞においては、ラスベガスの背景を使いながら、若い世代の期待と、破れる多くの夢などが語られていることが多い。そのため、ロサンゼルスを背景にその夢と影を描いたフランク・オーシャンと比べる批評家もいる。
という幅広く様々な要素を通過しながら、Shamirの視点でまとめられたこのアルバム、ぜひ聴いてみて。