サマソニにも出演。Passion Pit のライブはやっぱりすごく良い!
2015.05.13 11:45
最新作『キンドレッド』を引っさげて、現在パッション・ピットが全米ツアー中。
NYはブルックリンのキングス・シアター(キャパ3000人)で行われ、5月11日に行って来た!
キングス・シアターは不便な場所にあって、すごく行きたくなかったんだけど、もう1曲目で”Little Secrets”が始まって、みんなが立ち上がって踊り出した瞬間に、こんなところまで来て良かった〜と思える感動で、それが最後の最後までまったく変わらなかった。
例えば、個人的な痛みや葛藤をポジティブなサウンドで伝えるというアーティストは、とりわけ彼らの世代には多いような気がする。しかし、そのソングライティングの技術と、歌詞の正直さ、そしてそれをメインストリームのダンスチューンに変える能力において、やはりマイケル・アンジェラコスの才能は他と比べても飛び抜けている。数年前にふって沸いたように出て来たエレクトロポップバンドの中で、パッション・ピットが今も残ってその先頭を走っているのもその証拠だと思う。
彼は、最新作の”Until We Can't”という曲で、「僕らふたりがぶっ壊れるまで、あとどれくらいここで我慢できるのか」と歌っている。その歌詞においては、過去の作品同様に、人生ぎりぎりに立ったその葛藤があまりに悲痛に描かれている。しかしだからと言ってそれを辛いお涙頂戴物語に変えるのではなくて、どこまで高く行けるのかというほどの史上最高に楽天的なサウンドで歌っている。
ライブを見たことがある人は分かると思うけど、彼がニコニコ顔で、観客と一緒に楽しそうにダンスしている場面というのはほとんどない。常に背中を丸めてステージを右左に歩きながら、マイクに向かってスクリームしている。それは彼の魂の叫びであり、彼が鳴らしているものは、だから現代のソウルミュージックだと思うのだ。
ちなみに、最新作のビデオはそんな彼の心境を非常にシンプルな方法でスマートに表現した本当によくできた内容だと思う。
こちら。”Lifted Up (1985)"
そのサウンドが鳴った瞬間に席から立ち上がり、顔は思わず笑顔になる。沈んだ心をふと持ち上げてくれるそのサウンドに、飛び跳ねたり、踊らずにはいられない。でも、心はずっとチクチクしている。それがパッション・ピットのライブが特別で最高な理由だ。
前作では、125トラック重ねたというサウンドをどうやってライブで再現するんだ、という繊細さだったけど、それをステージ上で可能な限りやってのけたところに感動した。今回は少し大胆さを加えていたところがたくましくなっていて良かった。
最後にもちろん”Sleepyhead”はやったけど、でも、 本編を締めくくった”Take A Walk”での合唱のほうが心にじーんと来たし、新作だったら”Lifted Up(1985)"などが超盛り上がって、"Sleepyhead”からはもう卒業できそうな感じですらあった。まだ最初のEPから10年経ってないけど、バンドのこれまでの歩みを思って感慨深くなったりすらした。彼のあまりにパーソナルな歌詞によるファンとの心の結び付きが何より強靭なせいだとも思う。これからも、彼の物語の続きをずっと聴き続けたい、そんな心境にさせるライブだった。
アルバムが増えたので、ライブも休んでる曲なし。サマソニも思いきり踊らせてくれると思うので、お楽しみに!
セットリストは以下の通り。
1. Little Secrets
2. Lifted Up (1985)
3. Whole Life Story
4. Cry Like a Ghost
5. Mirrored Sea
6. Where the Sky Hangs
7. Make Light
8. Five Foot Ten(I)
9. Moth's Wings
10. Looks Like Rain
11. To Kingdom Come
12. All I Want
13. I'll Be Alright
14. Constant Conversations
15. The Reeling
16. Carried Away
17. Until We Can't (Let's Go)
18. Take a Walk
encore
19. Cuddle Fuddle
20. Sleepyhead