パッション・ピットのマイケル、活動休止説の真意とは。音楽業界に異議を唱える

パッション・ピットのマイケル、活動休止説の真意とは。音楽業界に異議を唱える

新作『Tremendous Sea of Love』を7月28日に配信とストリーミング・リリースしたパッション・ピットだが、マイケル・アンジェラコスがかねてからの活動休止説を否定している。

マイケルは先週末に「活動家として行動すること、あるいはソングライター、プロデューサー、パフォーマーとしてもっと安全で健全な環境が揃わない限り、これ以上音楽を制作し続けることは単純にできない」などとツイートしていて、これが活動休止の噂として広まっていた。

しかしその後、マイケルは「ピッチフォーク」に対し、「パッション・ピットとしての活動はこれからも続けていくが、従来の音楽業界の枠に捉われた活動はもうしない」と明らかにしている。



「ピッチフォーク」に送られたという声明の中で、マイケルは次のように説明している。

これまで報じられている記事の見出しとは違って、実はぼくは活動休止には入りません。実際、ぼくは毎日音楽を書いているし、音楽活動はそのままぼくの生活の一部でもあります。ライブもやったばかりで、数日のうちに新作も正式リリースする予定です。

アルバムからの収益はすべて、ザ・スタンリー・センターとブロード研究所の心療科学研究の資金として寄付されることになっています。ぼくは契約してこの業界に入る前からアーティストをやってきたし(こう言うとぼくも含めて色んな人たちにとって混乱を招くかもしれないけれども)、これからも業界と関係あるなしに関わらずアーティストとしてやっていくつもりです。


また自身が躁鬱病を患っていることも明らかにしており、アーティストの精神障害医療の支援団体、ウィッシュアート・グループを立ち上げているマイケルは次のように説明している。

ぼくが実際に今やっていること、また、これまでやると言ってきたことは、ウィッシュアート・グループを発展させていくために必要な作業がすべてなのです。これには全神経を集中させる必要があり、そのことでセールスを競い合うアーティストとして活動するために必要な時間が取られてしまうのです。

この点はよく説明する必要があって、というのは、一度にいくつもの活動を同時に進行させて本当の意味での変革をもたらすこと、特に精神医療の領域でそうした変革をもたらすという試みは明らかにうまくいってないからです。特に実質の医療は不足しています。ぼくはその逆を願っているのです。




そしてこの後、声明はさらに以下のように続く。

ぼくはこの世界、この業界で活動し続けることはできません。それはこの業界の働き方と、この業界内で仕事に従事する人間と創造活動を行う人間の扱い方に納得がいかないからです。この業界が売っている作品を生み出すために必要な健康を改善していく努力を何ひとつしていないからです。

売上を競い合うアーティストとして、典型的なアルバム・リリース活動に携わり、終わりのない宣伝活動とツアーに従事するというリスクによって、ぼくはほぼ死にかけました。人はよくこういう物言いをしますが、こうした条件のせいでぼくは死にかけたと言う時、あるいはたくさんの人を殺したと、そして今も殺し続けていると言う時、それは事実として言っているわけではありません。

ぼくはとてもリアルで個人的な体験からこういうことを言っているのです。ぼくはこういう世界を生きているし、ほかのたくさんのアーティストが自分の健康と、アートとのせめぎ合いの中で苦しんできているのを目にしています。

パッション・ピットは活動休止に入るわけでなくて、進化するのです。他のすべての事象と同じように。『ゴッサマー』のリリースから5周年を迎えました。あのレコードをリリースしてからずっと主張していたことを実践していかなければ、アルバムのメッセージそのものもすべて失われてしまうかもしれません。

何かを直せると思うのなら、それを直そうとする試みだけでもみんなに提示していくことがとても重要だと思います。




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