ザ・スミスは再来したか

ザ・スミスは再来したか

いつの時代も、すぐれたバンドが登場すると、フォロワーが現れる。
「ザ・スミスの再来!」というキャッチ・コピーはそれこそ80年代からいまに至るまで腐るほど見てきたけれど、ザ・スミス・ファンのひとりとして言わせてもらえば、そんなバンドはただのひとつも存在しなかった。
なぜか。
それは、そのほとんどがセミアコースティック・ギターをジャラジャラとかき鳴らし、なよなよしたボーカルで、ナイーヴそうなメロディを無害に歌うだけの音楽だったからだ。そして、いうまでもなくそういうものは、断じてザ・スミスではなかった。
そうではなくて、その精神の強靭さでいえばハード・ロックであり、人を不快にさせるようなボーカルで、徹底してアイロニカルかつユーモアに満ちたメロディを鳴らすのがザ・スミスだったからだ。
それはつまり、ひきこもりに向けたなぐさめソング・バンドなどではなかったということだ。

そういう意味で、初めて「ザ・スミスの血統」を強く感じさせるバンドが登場した。
それは、The Drumsである。
オスカー・ワイルドはまるでケータイ小説やTwitterのような吐き捨ての言葉に、
マンチェスターの曇り空は温暖化の進むビーチに、
1983年から2009年への時の流れは経たとしても、
そこにあるのは尊大なほどの皮肉であり、ポップ・クラシックへの異常なまでのフェティシズムであり、そしてなにより、こうしたロック・ミュージックがそれだけでなにがしかの攻撃であるのだという気概のようなものである。

The Drumsを聴いているときに湧き上がる興奮は、そういうものである。
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