ロンドン五輪開会式のハイライトもろもろ
2012.07.30 16:00
★「英国人ならではの独創的なアイデア+クリエイティヴィティ」の勝利だった、2012年度ロンドン五輪開会式。
2008年の北京五輪は中国政府による「巨大な資金+マンパワー」を湯水のように使ったド派手&大規模なものだったが、
そんな経済力もマンパワーもないイギリスは、
果たしてどんな手段で世界中の人々をエンターテインするのか???、、、。
この大課題に対し、
英五輪委員会が芸術監督として抜擢したのが、
映画『スラムドッグ$ミリオネア(アカデミー賞受賞)』、『トレイン・スポッティング』等でも有名なダニー・ボイル監督。
今回ボイル監督が演出を手がけた開会式のテーマは、
シェークスピアの戯曲『テンペスト』からインスピレーションを受けた、『Isles of wonder(不思議の島=英国)』。
上の写真を見ていただいてもお分かりのように、
映像アート、演劇、文学、最新デジタル技術、ポップ・カルチャーなど近代文化のキー・モチーフを総動員した、
壮大かつシネマティックな大戯曲イベントになった。
まずはスタジアム内に設置された「中世の英国の田園風景&大勢のエキストラ」から始まり
↓
19世紀に英国で勃発した「産業革命」
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60年代初期の英国から発し、世界中に飛び火していった「ポップ・ミュージック/ユース・カルチャー革命」
↓
そして現21世紀の「デジタル革命」
(ここで登場するのがWorld Wide Web(WWW)を考案した☆英国人科学者=サー・ティモシー・バーナーズ・リー。
URL, HTTP, HTMLの最初の設計は彼によるもの)
という風に、
これまでの英国史を辿りつつ、英国の過去→現在→未来を描いていく構成。
★開会式に登場した英有名人をざっと連記するとこんな感じでした。
↓
☆ケネス・ブラナー(アカデミー賞受賞英国人俳優)。
☆JK・ローリング(『ハリー・ポッター』シリーズでお馴染みの英女流作家)。
☆デヴィッド・ベッカム(サッカー選手)。
☆エリザベス女王(←れっきとした本物!!!
☆ダニエル・クレイグ扮するジェームス・ボンドにエスコートされ、オリンピック会場へパラシュートでダイヴするかのような演出映像で登場)。
☆ローワン・アトキンソン(ご存知Mr.ビーン役で登場)。
★もちろんザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、エリック・クラプトン
クイーン、デヴィッド・ボウイ、ピック・フロイド、ユーリズミックス、OMD、
セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ザ・ジャム、ニュー・オーダー、プロディジー、
ブラー、ミューズ、エイミー・ワインハウスetcの、
英国を代表するロック/ポップ・アーティスト勢の音楽もサウンド・トラックとして全編で登場。
当日のフル・セット・リストはこちら。
↓
http://www.nme.com/news/arctic-monkeys/65185
なお当日のライヴ・パフォーマーとしては、
サー・ポール・マッカートニーやマイク・オールドフィールド、
アークティック・モンキーズ、トゥー・ドア・シネマ・クラブなどが出演した。
最後にもうひとつ。
豪華な今回の出演者勢の中で個人的に最も印象に残ったのは、
サー・ポールでもエリザベス女王でもMr.ビーンでもなく、
意外にも先述の英コンピューター科学者=ティモシー・バーナーズ・リーだった。
この人、現デジタル社会において無くてはならないWorld Wide Web(WWW)/インターネットの発案者でありながら、
「インターネットは世界の人々全てのもの」という理想主義/社会主義的考えのもとに、
特許も取らず(!)、使用料も一切徴収せず(!)、WWWを誰に対しても無償で開放する(!)ことを発表した。
(つまり今あなたが無料で使っているインターネットも彼のおかげ)。
この辺が、
ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグなど「IT億万長者」を多く生み出している「発明を金に換えるアメリカ人的考え方」と、
「優れた発明/アイデアはあくまで社会全体のもの」とするイギリス人的考え方の一番大きな違いなのかも、、、。
久々に深く考えこんでしまった。
普段は英国の欠点ばかり挙げて文句を言っている筆者ですが、
英国人特有のこういう側面/メンタリティは大好きだったりします♪