春には間に合わず、誰かが陽の光を浴びている頃、
静かに未来を信じて、土の中でじっと踏ん張っていた。
そして今──ようやく、その花が咲いた。
時間をかけて育ったぶんだけ、
その根は、想像をはるかに超える深さで大地を掴んでいた。
揺るがぬ強さと確かさを身につけて、
あの頃の迷いや、遠回りに思えた道のりも、
今となってはすべてが意味を持ちはじめている。
長く張られた伏線がついに回収されるその瞬間に、
僕らが立ち会えていることが、ただただ嬉しい。
「今が一番、青春してる。」
そう言ったトシくんの笑顔があまりに眩しくて、胸が熱くなった。(古閑英揮)