TOMOOがなぜ時代に求められているのかがわかったパシフィコ横浜ワンマン──その脆さの先にある「強さ」が、初の武道館へと繋がってゆく

TOMOOがなぜ時代に求められているのかがわかったパシフィコ横浜ワンマン──その脆さの先にある「強さ」が、初の武道館へと繋がってゆく
懐かしい曲から未発表の新曲まで、ピアノ弾き語りから(TOMOOを含めて)13人による豊潤なサウンドまで。目に映った光景と心に仕舞った感情をシームレスに行き来しながら歌い繋いでいった2時間強。

ライブ終盤に起きたとある出来事に対して、「こういう人間なんだよ、脆いだろう。しかと見るといいよ」と(朗らかに)言っていたのだけれど、なんというかそれこそまさにTOMOOのアーティストとしてのアティチュードそのもののような気がして、そんなムードじゃなかったのになんだかじんとしてしまった。

TOMOOはしなやかな感性と滋味深い語彙によって人々の心のひだを繊細に撫でるような曲を紡ぐアーティストだけれど、決して《“角がないから”丸いわけじゃない》。“オセロ”にしろ“Super Ball”にしろ“Grapefruit Moon”にしろ、自分の脆さに安住することなく、音楽によって自己開示しながらリスナーに向けてコミュニケーションし続けている。そんな芸当をごく自然にできるところにTOMOOの「強さ」があって、その脆さの切っ先で光り輝く楽曲とパフォーマンスが、薄暗い時代と沈み込んだ心を柔らかく照らし出しているのだと思った。

そんな光が次に舞台を照らすのは、来年5月23日の日本武道館。「夢」として語っていた場所へ、TOMOOは着実に向かってゆく。(畑雄介)

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