bokula.って、何をやっても似合うバンドだよなあと思う。
疾走感溢れる青春ギターロック。衝動のままに思わず体が動いてしまうような暑苦しいライブ。それらは確かにbokula.の真骨頂といえる。だけど、bokula.の音楽は決して聞く人を選ばず、その両手はいつも大きく広げられているし、ライブだっていろんな楽しみ方をする人が共存できるように、一人ひとりに目配せをし、呼びかけ続けているバンドである。
新曲の“ハートにハグしよう”は、ホーンの入ったアレンジからアートワークやMVまで、バンド史上最もポップな一面を全開にした曲だが、不思議と違和感なくbokula.の曲としてすんなり耳に入ってくる。それは急に新しいことにチャレンジしたわけではなく、bokula.がずっと目指し続けている全方位的なバンドのスタンスをぶらさずに、たまたま今回はポップな一面にフォーカスを当てているのだなと受け取れるからだ。
ロックバンドはこうあるべきだとか、そういう重荷を下ろして自分たちが今いちばんやりたい音楽を鳴らす。周りの人を憎んだり、自分の気持ちをごまかすのはやめて、素直に愛を伝えたっていいじゃないかというメッセージ。その肩肘張らないスタンスに安心感を覚える人もきっと多いのではないだろうか。そしてそんなバンドこそ、この時代には誰よりもリスナーに信頼されるのではないかと思う。最近、愛が足りていないなと思う人にはぜひ聴いてほしい1曲だ。(有本早季)
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ポップだけどbokula.らしい、ポップだからbokula.らしい。新曲“ハートにハグしよう”を聴いて、改めてバンドの多面性に気づかされた
2024.10.29 17:30