マーヴィン・ゲイのアルバム『Here, My Dear』の邦題が由来となっているらしく、そもそもなぜ『離婚伝説』という邦題が付けられたかというと、マーヴィンが元妻との離婚係争で請求された慰謝料を捻出するためにリリースしたからだそう。内容も極めて私小説的で、元妻への愛憎入り交じる複雑な感情が歌われている。
そんなアルバムに由来したバンド名だから……なのかどうかはわからないけれど、離婚伝説の歌が描き出すのは一貫して「愛」というテーマだ。砂糖菓子のように甘い恋のひと時を綴る“メルヘンを捨てないで”も、甘いひと時が幻影のように消え去って《仮初の恋なんて求めてないのよ/二度とあらわれないで》と愛した人を突き放す新曲“あらわれないで”も──。松田歩の柔らかく発光するようなハイトーンボイスと、別府純の高度な技術を持ちながらもリリカルなギターが、美しく溶け合いながら「愛」の歌を奏でる。
『関ジャム 完全燃SHOW』の「マイベスト10」川谷絵音の6位に選出され大きな話題を生んだ“愛が一層メロウ”は、まさに離婚伝説の音楽性を言い表したかのようなタイトル。シンコペーションとともにひらすら繰り返される呪文のような♪アイガイソメロ〜(《愛が一層メロウ》)が、イヤーワームとして頭から離れない。
ルーツミュージックを軸にしたサウンドは、いわゆる玄人受けしそうな洗練されっぷりなのに、メロディはどこまでもポップで親しみやすいのが彼らの大きな魅力である。そのフレンドリーさはなんと赤ちゃん(!)にまで届いていて、0~2歳児向けの知育番組『シナぷしゅ』に「赤ちゃんが喜ぶ歌」として“ファニーとファンキー”を提供している。
『バズリズム02』の「2024年コレがバズるぞ!BEST10」6位、Spotifyの「RADAR: Early Noise 2024」選出、3月20日に1stアルバムリリース、同月23日にZepp Shinjukuで1stワンマンライブ開催……とますます勢いづく離婚伝説。JAPANとしても一刻も早く彼らに迫りたい!ということで、次号JAPAN5月号の「Look Up!」コーナーにて初インタビューを奪取しました! フォトジェニックなふたりの撮り下ろしポートレートも含め、楽しみにお待ちください!(畑雄介)
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