ザック・スナイダーの『エンジェル・ウォーズ』をようやく観れたんだけど、これがまた予想通りというか、スチーム・パンク×ゾンビ×銃撃×セーラー服×精神医療施設×ドラゴン×ダンス×モビルスーツ×ナチス×娼館×サムライ×サイボーグ×殺陣というキーワードが交わる映画ということで、まあ、だいたい誰もが想像できる、というかむしろ想像するのがバカバカしくなるほど、もう前後の脈略とか関係なく、好き放題に監督のフェティシズムが炸裂する、まさに娯楽作中の娯楽作。
ドラマやストーリーやメッセージをここで見出そうとするのはナンセンス。とにかく趣味丸出しのザック・スナイダーの過剰、だけどめちゃくちゃ斬新なヴィジョンをとことん嗜む映画であり、実際にそれはめちゃくちゃ楽しい。
ただひとつ気になるポイントが。
それはこのブログにおける、自分による映画紹介のいっかんとしたテーマとなりつつある音楽。
この作品で監督は、セリフがほとんどないアクション・シーンにエモーショナルなムードを加えるために、アイコニックなロック・ソングをいくつか使っている。
たとえばピクシーズの“ホエア・イズ・マイ・マインド?”やストゥージズの“サーチ&デストロイ”やビートルズの“トゥモロー・ネバー・ノウズ”やスミスの“アスリープ”やジェファーソン・エアプレインの“ホワイト・ラビット”やユーリズミックスの“スウィート・ドリームス”など。
しかし……それらがすべてカバーなのである。
曲の歌詞を強調したアレンジで、それをアクション・シーンと重ねることである種のセンチメンタリズムを呼び起こすという演出は面白いチャレンジだとは思うけど、どうもそれがくどく感じてしまうことが多かった。だったら普通にオリジナル使おうよ、というか。そもそも他の映画で使われている曲が多いし、選曲にあまり驚きがないのもちょっと……。
まあ、マイナーな点だし、その意図は否定しないけど、個人的にちょっと鼻につく演出でした。
ただ映画は面白いので、現在制作中の4月19日発売号でも盛り上げています!(内田亮)