ジョイ・ディヴィジョン、1stのマスター・テープのコピーがゴミ箱から救出される

ジョイ・ディヴィジョン、1stのマスター・テープのコピーがゴミ箱から救出される

ファクトリー・レコードのプロデューサーとして様々なバンドの作品を手がけたマーティン・ハネットが所有していたオリジナル・マスター・テープのコピーやアウトテイク音源のテープなどが売りに出されていることが明らかになっているが、ここにジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー、ザ・サイケデリック・ファーズやマガジンらの音源も含まれているという。

売りに出しているのは元ザ・フォールのメンバーのジュリー・アダムソンで、ジュリーは1981年から83年にかけてハネットのアシスタントを務めており、その後80年代を通してマンチェスターのストロベリー・スタジオでサウンド・エンジニアとして活躍した経歴を持っている。現在は自らレーベルを運営しているが、ここにきてフェイスブックに今回放出するテープの画像を上げ、興味ある人に譲りますと呼びかけている。もともとこれらのテープはすべてゴミ箱に放り込まれていたところを救い出されたものだとのことだが、その後どうやってジュリーの手に渡ったのかはジュリーは説明していない。

テープは他にもドゥルッティ・コラムなど30本近くあるというが、特に注目されるのはジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーの6本で、ジョイ・ディヴィジョンに関してはアウトテイク集と1979年のファースト『アンノウン・プレジャーズ』のオリジナル・マスターのコピー・テープが含まれているという。

これらのテープは2008年にジュリーの手でデジタル変換も済ませたというが、ピーター・フックも、他のジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダーのメンバーも、あるいはレコード会社も、関心を持たないどころかジュリーを邪険に扱ったことから今回手放す決心をしたとジュリーは自身の解説文で匂わせている。

「わたしは長い期間にわたってこれらのテープを大切に保管し、(まずは最初に)アーティストらに呼びかけてみましたが、誹謗中傷や嫌がらせを受けることになり……正直、もうどうでもよくなりました。コレクターであれば、きっと価値あることものだと思います。その先どうするかは自分でがんばってください。『アンノウン・プレジャーズ』の音質は、アナログ盤の音をそのままマスタリングしているここのところの(正規盤の)音源と較べたら較べものになりません(オリジナルのマスター・テープはとっくの昔に紛失しています。このマスター・テープのコピーとアウトテイク集は素晴らしい内容になっていると保証します)」

ただ、自身もレーベルを経営しているジュリーは、いくらこうしたテープを持っていたところで著作権保有者であるアーティストが世に出すつもりがなければ、絶対に日の目を見ることにもならないと注意していて、そもそもこれらの音源が自分の手元にあるのは「値段などつけられないほど価値あるものなのに廃棄されそうになっていたから」だと説明している。

なお、これらのテープを売却した後にもデジタル音源のコピーは保持することになるので、アーティストやレコード会社に興味があればいつでも提供するつもりだとジュリーは明らかにしている。一方、オリジナルのテープはコレクターに譲りたいとしていて、すでにテープの劣化もひどくなっているので焼き(テープの蘇生法のひとつ)を入れないと使えない状態で、これ以上の維持管理を自分はもうやるつもりはないとジュリーは説明している。

テープの画像はこちらから→
http://invisiblegirl.co.uk/images/photos/reels.jpg
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