9月14日にセカンド・アルバム『ポルタメント』をリリースしたザ・ドラムスだが、ボーカルのジョナサン・ピアースは追い込まれた時にはそのことをあけすけに語ってしまった方がいいと、危機を乗り越える秘訣を明らかにしている。
昨年世界中でにわかに注目されたドラムスだが、昨年9月にはギターのアダム・ケスラーが脱退し、さらに今年の6月にもバンドの方向性をめぐって解散の瀬戸際まで追い込まれたとバンドはこれまでにも明らかにしてきた。
「ものごとの対処する時にはそれが一番いいやり方かなと思うよ」とジョナサンはスピナーに語っている。「自分の思ってることをどんどん口にしちゃうってことだよ。どっちみち、防御線を張っていない人ほど、周りにとって興味深い存在ってないんだからさ。ぼくだってやっぱりバンドときたら、なんか手応えがあってこちらの興味をかきたてる連中が好きだからね。すべて順調に運ばせようとすることほど退屈な発想ってないと思うよ」。
そうした意味でジョナサンは『ポルタメント』ではすべてを包み隠さず作品に託してしまうというアプローチをとったと語っている。当初はそこまで自分のことをあけすけにしてしまうのはかなり難しかったともジョナサンは振り返っているが、1度腹を据えてしまうと、ずっと言ってみたかったことを実際に表現してしまうことがおもしろくなってきて、自分の生い立ちや人生についても今まで気づいていなかったようなことをいろいろわかってくるという経験になったとか。
特にジョナサンはキリスト教の厳格な信者である家庭に育ったということもあって、そうした生い立ちのなかで自分がどういう人間として育ったのかを自覚するには今回の『ポルタメント』の制作というプロセスが必要だったと説明している。また、アルバムを作り終えてメンバー全員でわかったことがあるとすれば、それは全員がテコでも動かない頑固者だということだそう。
「でも、それでよかったのかなと思うんだ。おかげでバンド内じゃ必要以上に摩擦がいつも起きちゃうんだけどね。たぶん、プレスの人たちとかは、そういうぼくたちの力関係に気づいてて、それでぼくたちを見てるとすごくおもしろかったりするんだと思うよ」
さらにジョナサンはこう続ける。「そりゃあね、個人的なこととか作品にしたり、取材で語ったりしなくてもよかったらいいのにと思うことだってたくさんあるよ。でも、それと同時にそれがこの旅路にはついて回るものなのかなとも思うんだ。ぼくはこれまで日記とか書いたことないから、なんかプレスが自分たちの日記をつけてくれているように思えることもあるんだよね。だから、いつか、こんな山あり谷ありもあったなあって読み返すのもおもしろいんじゃないのかな」