ニルヴァーナの決定版伝記本「病んだ魂」の著者として有名なマイケル・アゼラッドだが、この本に次いでアゼラッドの代表作との呼び名が高いのが2001年の名著「Our Band Could Be Your Life」。これはソニック・ユース、ブラック・フラッグ、ミニットメン、ザ・リプレイスメンツなど、1980年代から90年代初期にかけてアメリカのインディやアンダーグラウンドで活躍したバンドの足跡を追った本で、言ってみれば、1981年から91年にかけてのアメリカ・インディ・シーンそのものの伝記本といった内容の本だった。
アゼラッドはこの本の刊行10周年を記念して特別ライブをニューヨークのボウワリー・ボールルームで開催したのだが、これがまた現在インディとして活躍するバンドが自分の本に登場する先輩バンドをカバーするというトリビュート・ライブという内容だった。
このライブは5月22日に行われ、主催者となったアゼラッドからの挨拶では「みんなを招待するよ! もしなんかにインスピレーションを受けたんだったら、それをなんとかしないと。誰かの許可なんか待ってちゃだめだよ」と、自身の著作に登場するバンドに一貫しているDIY精神を解説したあとで、あのフレーズを語ったとか。「Just Do it.」
主なところでは、テッド・レオがマイナー・スレットの“Look Back and Laugh”“Salad Days”、タイタス・アンドロニカスがリプレイスメンツの“Kid’s Don’t Follow”“Treatment Bound”、チューン・ヤーズはソニック・ユースの“The Burning Spear”、セイント・ヴィンセントによるビッグ・ブラックの“Kerosene”などが演奏されたとか。
このライブが始まる前にアゼラッドは開演の挨拶で、出演するバンドとカバーされるバンドについて同時にこう説明した。「これらのバンドは、きみたちみんながやりたいこと、そして望んでいるやり方、そのメタファーになってるんだよ」。その後、アゼラッド自身、クラウド・サーフィンを楽しんだそう。