「(ブラック・パワーについて)もの凄く過酷な状況だと思う、だって指導者が出てきたと思ったら、あっという間に殺されちまうんだぜ!」
今回ここで紹介するのは、まさに激動の最中にあったザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーとキース・リチャーズのインタビューだ。69年7月4日付の記事なので、ストーンズ自身が出演したこの年のハイド・パークでのフリー・ライブ直前に行われたもの。インタビュー中、ハイド・パークのフリー・コンサートについてミックが触れているが、これはこの前年に行われた同じフェスティバルについて触れた発言だ。したがって、この取材の時点では、脱退したばかりのブライアン・ジョーンズもまだ存命していた。
当時の取材攻勢に辟易していたミックとキースはこの音楽記者と息抜き的なトークに興じていて、そこがこの記事の面白さだが、それぞれの話題がバンドや当時の世界の情勢をよく伝えるものになっているのが感慨深い。やはり一番印象的なのはフリー・コンサートの素晴らしさをミックが強調するところ。この後、傑作『レット・イット・ブリード』を形にすると、バンドはアメリカ・ツアーを決行。しかし、その締め括りともいえたオルタモントのフリー・コンサートで殺人事件が発生し、時代の闇をみせつける事件ともなった。(高見展)
『ロッキング・オン』最新号のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。