星野源×スーパーオーガニズム・オロノのANNでのトークの面白さは図抜けていた

4月2日深夜1時から放送された『星野源のオールナイトニッポン』にはゲストにスーパーオーガニズムのオロノがゲスト出演。音楽同様、枠にはまらない自由な魅力溢れるオロノの発言に放送中にも関わらず、ディレクターが「(オロノで)オールナイトやりたい」と星野にインカムで伝えるほど。笑えるトークに考えさせられる場面もあり、音楽もあり、と新しいものに触れさせてくれる深夜ラジオの醍醐味が詰まった放送のように感じた。

番組に登場すると、まず、二人が友達になったきっかけの話に。星野が音楽に対して落ち込んでいるときに動画サイトでスーパーオーガニズムのライブ映像を見たことが始まりで、「音楽の凄い大事なピュアな部分がある気がして元気をもらった」という星野は「友達になりたい!」と思ったという。そして、この日オロノとともにゲスト出演したライターの小田部仁(星野のオフィシャルイヤーブック『YELLOW MAGAZINE』の編集も担当)がオロノと友人ということから星野に紹介。ご飯に行って7時間恋バナをしていたという3人の、長くを共にした友人のような、星野の言葉を借りれば忖度の無い、本音で語り合うトークが繰り広げられた。

お互いの音楽について、オロノは先日の「星野源 DOME TOUR 2019『POP VIRUS』」札幌公演を観て星野がスーパーオーガニズムのライブ映像を見たのと同じように、エネルギーを貰ったという。中でも、“Pop Virus”は「日本のJ-POPの歴史において一番最高の曲」だと言い、バンドメンバーのエミリーも好きだそう。一方、スーパーオーガニズムの音楽について星野は「自由さを感じる」と話し、「国籍も違う8人が自分たちのパーソナルな部分を持ち寄って音楽を作ってる感じが、これからの音楽だなって感じがして良い」と語った。

番組はリスナーからオロノへの質問や相談のメールを募集しており、好きな食べ物の話や、海外での生活についてなど、中学でアメリカに行き、現在イギリスを拠点にしているオロノならではの話が多く語られた。最後に読まれた、スーパーオーガニズムを毎日聴いているというファンからの、「今回の出演を機にたくさんのリスナーに知ってもらうのが嬉しい」というメールでは、文中の「オロノちゃん」という呼び方に、「日本にジェンダーとかのボックスがあるのを思い出させてしまう。ちょっとダメじゃんってなっちゃう」と語り、本文の内容に関しても英語を交えながら、「自分は音楽やアートは自己満足だけでやってるから、自分がハッピーだったらいい。すごく感謝するけどそれだけでやってはいない」と自身の音楽活動への気持ちを語る。「この人大好きとかそこで終わってほしくない。もっとそれを超えるようなところに行ってほしい。この人よりいいものになるぞ、みたいな」と、自分の世界を持ったうえで自分たちの音楽を聴いてほしい、として星野も共感。最後はそのリスナーのことを知りたいから「DMしてください。話しましょうよ」と締められた。

このようなメールから、こんな展開になるのは筆者も様々なラジオ番組を聴いてきて初めてで面白かったし、とても膝を打つ話だった。なにより、自分の中の意見をはっきりと話すオロノの魅力が伝わる放送だったように思う。ちなみに、番組内でも触れられていたが、InterFMでオロノがパーソナリティを務める『Oh Wow, Very Cool!』という番組もスタートしている。ラジオで今後もオロノのトークが聴いてみたいし、小田部が話したように星野とオロノがいつか一緒に音楽を作る日を楽しみにしたい。(菊智太亮)
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