そこには、チャットと出会った頃の話のほか、脱退の悔しさやさみしさを乗り越えた上で、高橋がこれから生み出す表現を心待ちにしているというコメントや、チャット2人の未来にも「楽しみしかない」という前向きな言葉が掲載されている。これだけでもかなりグッとくるが、それがライナーノーツらしからぬ手紙の文体で(語り口調で)ありのままに綴られており、言葉を超えた強い親愛が滲み出ているのを感じて、胸がじーんとする。さらにライナーノーツの最後に書いてあるポラロイド写真のいたずらのくだりも、小出がいかにチャットモンチー3人のことを心の友だと思っているかが伝わってきて、読み手ながらに涙腺がぎゅっと締め付けられてしまう。なんて愛らしい関係なんだろうときゅんとするのと同時に、だからこそやってくる爽やかな寂しさが、天気雨のようにさあっと心に降り注ぐのだ。一方2016年3月には、Base Ball Bearから湯浅将平が脱退した。バンドサウンドのみで作曲をしていたベボベは打ち込みを交えた楽曲も制作するようになり、その後新体制初のアルバム『光源』を作り出す。このアルバムを携えたツアーでは、苦難を乗り越え新しい音楽の作り方を会得したメンバーが音楽活動に対する充実感を語っており、ライブ中の表情にもそれまでで最上の明るさを宿らせていた。チャットモンチーは高橋の脱退後、新体制&メカ化でどんどんニュータイプの作品を作りリスナーを驚かせていったが、おそらくベボベはそこにバンドを存続させていくヒントを得て、結果的に名盤と名高い『光源』を生み出し、より豊かな音楽の楽しさを享受することができたのではないかと思う。楽しい時間だけではなく、バンドとしての生き方をも分かち合える関係、それがチャットモンチーとBase Ball Bearなのだ。本当に強い友情とは、こんな風に大きな力を持ち、当事者たちの運命を動かしうるものなのかもしれない。2組の特別な繋がりを見て、そんなことを思った。冒頭にあげた“恋の煙 (同期ver.)”のエレクトロ感はかなり新鮮に聴こえたが、しかし両者が辿ってきた道程を鑑みれば、このサウンドになったのも大いに頷ける。なぜならこの曲は、困難を越え進化し続けた2組の最新形態の、いわば交差点のようなものだからだ。最後の最後まで新たな手法を尽くして双方のリスナーがわくわくするような音楽を作ってくれた最高の同期たちに、今あらためて感謝の気持ちと敬意を表したい。(笠原瑛里)
チャットモンチー×Base Ball Bearの、固く結ばれた友情について
2018.06.15 17:30
そこには、チャットと出会った頃の話のほか、脱退の悔しさやさみしさを乗り越えた上で、高橋がこれから生み出す表現を心待ちにしているというコメントや、チャット2人の未来にも「楽しみしかない」という前向きな言葉が掲載されている。これだけでもかなりグッとくるが、それがライナーノーツらしからぬ手紙の文体で(語り口調で)ありのままに綴られており、言葉を超えた強い親愛が滲み出ているのを感じて、胸がじーんとする。さらにライナーノーツの最後に書いてあるポラロイド写真のいたずらのくだりも、小出がいかにチャットモンチー3人のことを心の友だと思っているかが伝わってきて、読み手ながらに涙腺がぎゅっと締め付けられてしまう。なんて愛らしい関係なんだろうときゅんとするのと同時に、だからこそやってくる爽やかな寂しさが、天気雨のようにさあっと心に降り注ぐのだ。一方2016年3月には、Base Ball Bearから湯浅将平が脱退した。バンドサウンドのみで作曲をしていたベボベは打ち込みを交えた楽曲も制作するようになり、その後新体制初のアルバム『光源』を作り出す。このアルバムを携えたツアーでは、苦難を乗り越え新しい音楽の作り方を会得したメンバーが音楽活動に対する充実感を語っており、ライブ中の表情にもそれまでで最上の明るさを宿らせていた。チャットモンチーは高橋の脱退後、新体制&メカ化でどんどんニュータイプの作品を作りリスナーを驚かせていったが、おそらくベボベはそこにバンドを存続させていくヒントを得て、結果的に名盤と名高い『光源』を生み出し、より豊かな音楽の楽しさを享受することができたのではないかと思う。楽しい時間だけではなく、バンドとしての生き方をも分かち合える関係、それがチャットモンチーとBase Ball Bearなのだ。本当に強い友情とは、こんな風に大きな力を持ち、当事者たちの運命を動かしうるものなのかもしれない。2組の特別な繋がりを見て、そんなことを思った。冒頭にあげた“恋の煙 (同期ver.)”のエレクトロ感はかなり新鮮に聴こえたが、しかし両者が辿ってきた道程を鑑みれば、このサウンドになったのも大いに頷ける。なぜならこの曲は、困難を越え進化し続けた2組の最新形態の、いわば交差点のようなものだからだ。最後の最後まで新たな手法を尽くして双方のリスナーがわくわくするような音楽を作ってくれた最高の同期たちに、今あらためて感謝の気持ちと敬意を表したい。(笠原瑛里)