コーチェラ・フェスティバルにヘッドライナーとして出演し、ソランジュ、ジェイ・Zらの客演のほか総勢100名を越えるダンサーとマーチング・バンドを従えて自身のキャリアとブラック・ミュージックの歴史を振り返るライブを披露し、絶賛を受けたビヨンセ。
このパフォーマンスは高く評価され、「ビヨンセのコーチェラ」という意味で「Beychella」という造語まで生まれた。
パフォーマンス中にはデスティニーズ・チャイルドが再結成する一幕もあったが、ミシェル・ウィリアムズが「Los Angeles Times」のインタビューに答え、このステージについて振り返っている。
まずオーディエンスの反応について、ミシェルは特に「若いキッズの盛り上がりに驚いた」のだとか。「みんなビヨンセなら当然知ってるわけよね。でもね、ビヨンセのほかに女子がふたりいて、『うちのママが熱狂してるこのガールズ・グループってなに?』って感じだったはずよ。実際、あそこにいたキッズなんて“Lose My Breath”が出た時にはまだ2歳とかだった子も多かったはずだから」と語っている。
さらに、2年ぶりとなるライブのリハーサルの様子については次のように語る。
最初はね、「ビー、とにかく単純にステージに出てって楽しんできたらいいわ。みんなあなたをまた観られるだけでもう大興奮だろうし」っていうノリだったの。それでリハーサルに初めて乗り込んでみたら(ステージ・セットの)巨大なピラミッドが組み立ててあって、ここにぎゅうぎゅうに人を詰め込むってことになってて。
わたしはもう「一体全体、これはなに!? わたしは単純にステージに出てって楽しんできたらって言ったでしょ!?」って問い詰めたんだけど。でもね、わたしたちが普通だと思うようなことができないのがビヨンセなのね。こういうことが彼女には楽しいのよ。
そしてビヨンセが主導するリハーサルの熱の入りようについても、次のように語っている。
全員がね、お互いに切磋琢磨してみんなが自分の最高のものを出そうとしていたわ。ビヨンセがなにかをやろうとする時には、ビヨンセ自身にできることなら、ステージのほかの全員にもできるとわかってやっているのね。
人によってはリハーサルの時間が人より長くなるかもしれないし、音楽の部分を人より長く練習しなければならないかもしれない。だけど、ビヨンセは仕事に懸命に励むことを身を持って見せてくれるわけで、あそこにどれだけの人がいただろう、150人とか200人とかいたと思うんだけど、その人たちが全員ね、あの経験を持って帰って、それぞれの人生が変わったと思うの。
それはみんながビヨンセの仕事にかけるモラルを目撃したはずだからなのね。みんな、ビヨンセがスタッフを従わせて自家用ジェット機で移動するような派手な女子で、用意されたステージに出れば不思議とすごいダンスが出来てしまうような、そんな人ではないということがわかったはずなのね。ビヨンセはなにからなにまですべてに関わって仕切っているのよ。
一方で、ブラック・カルチャーの文脈も持った今回のパフォーマンスをコーチェラのようなフェスティバルで披露する心境はどういうものだったかという問いには、次のように答えている。
音楽は癒しになるし、人を集わせることもできる。人種やカルチャーや宗教の垣根を越えて人を集わせることができる。あの日わたしたちが目にしたオーディエンスというのはまさにそういうものだったと思う。
デスティニーズ・チャイルドはそういうことができたし、ビヨンセもそういうことができた。別に感情的になったり、説教臭いことを言いたいわけじゃないんだけど、とにかく、世の中は人々を分断しようとするものだらけなの。
そんな状況でビヨンセがやってみせたことがわたしは本当に大好きなのね。だから、彼女にもこう言ったの、「あなたは間違いなくカルチャーを変えていくための一役を担ったはずよ」ってね。
なお、今回のコーチェラでのパフォーマンスについては、ビヨンセ自身も以下のように語っている。
ショーが終わったあと、若者たちが私たちの文化を調べて、“Lift Every Voice and Sing”(アメリカの黒人国歌として知られる曲で、今回のコーチェラのパフォーマンスで披露)を聴いて、この曲が私たちにとってどんなに素晴らしい意味を持つか、そして、人種の架け橋になるような曲だっていうことを知ってくれたらと思っているの。
そして黒人の子どもたちが、歴史的黒人大学(アフリカ系アメリカ人のために設立された教育機関群)に入学する後押しにもなればと考えているわ。