「Ozzy Rules」! オジー&フレンズいよいよ降臨、Ozzfest Japan 2015 DAY2速報レポート

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2013年に続く2回目の日本公演として、11月21日(土)・22(日)の2日間に亙り千葉・幕張メッセにて開催されたOzzfest Japan 2015。

RO69では、KORNとオジー・オズボーン&フレンズをヘッドライナーに据え、エヴァネッセンス、ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン、ジェーンズ・アディクション、ヘイトブリードらを迎えて開催された両日のオリジナル・レポート記事をお届けしています。

(DAY1レポート記事はこちらから:http://ro69.jp/news/detail/134446

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【Ozzfest Japan 2015 (DAY2) @ 幕張メッセ 国際展示場 9~11ホール】

日本初上陸となったOzzfest Japan 2013の2日目では、何といってもオジー・オズボーンがフロントを務めるブラック・サバスの初来日というスペシャル・トピックが肝だったわけだが、今回においてはYOSHIKI(X JAPAN)やふなっしーのスペシャルゲスト参加という嬉しいサプライズも多い半面、もしかすると絶対的なハイライトのようなものはないのかな、と思っていた。もちろん、そうだとしてもロック・フェスティヴァルとしては全く問題ない。しかし、やはりこれはOzzfestなのだ。最後に現れたオジー・オズボーンが、自らこの宴が誰のためのものなのかを明示して締めくくってくれた。2つのステージが併設され片方が終わるとその10分後にもう片方のステージがスタートする、という前回同様の形式で進められた今日のライヴ。1つ1つレポートしていく。

オープニング・アクト4組を経て、ステージAのトッパーを務めたのは、HER NAME IN BLOOD。ブラスト・ビートとグロウルによる波動を高音が強調された音像で放つ渾身のプレイで、開会の祝砲を上げた。また、グロウルでのコール・アンド・レスポンスにしっかりと応えたオーディエンスの熱も素晴らしかった。

続いてステージBに登場したのは、OLDCODEX。YORKE.が骸骨の描かれたボートにペイントを施し、みるみるうちにオジーへと描き替えるその横で、3人のバンドメンバーを引き連れたTa_2が扇情的なラウド・ロックを歌い上げる。2人が互いに負けじとバチバチやり合う迫力は、「今日は短い時間ですが、俺らの音を、俺らの絵を、精一杯届けたいと思います」というTa_2のMCそのままに、彼らの表現に対する真摯な姿勢を伝えていた。

高い技術と音楽的知性に裏打ちされたエンターテインメントをフロアに叩きつけたのが、Fear, and Loathing in Las Vegas。メタル、エモ、高速トランス、EDMなどが混然一体となった彼らのスタイル、そしてその音楽性もさることながらフロント2人を中心にメンバー全員がステージ上で踊り狂うステージングの楽しさは、Ozzfestのオーディエンスも秒速で飲み込んでいた。情報を詰められるだけ詰め込み目まぐるしく変わる極めて躁的な曲展開に合わせ、数千人が歪に踊る様は圧巻の一言。特に“Virtue and Vice”での、ヴォーカル2人の過剰なダンスがフロアに伝播していく光景が最高だった。

今日最初の海外からのアクト、ア・デイ・トゥ・リメンバー。初っ端の“The Downfall of Us All”から出音はガチッとヘヴィにまとまっている。それにしても、緊張や焦りを全く見せない堂々たる演奏は流石。曲を進める度に、メタルはもちろん、ハードコア、ロックンロールなどの要素がごく自然に飛び出してくる。様々な音楽のエッジーな部分を繋ぎ合わせてポップに仕上げる、非常にモダンなロックである。また、左右に立つ2人のギタリストがコーラスやシャウトを務める真ん中で、ステージ狭しと動き回り、ときにはフロアに降り立ちオーディエンスに直に歌いかけるヴォーカルのジェレミー・マッキノンの華やかさも目を見張るものがあった。

9mm Parabellum Bullet。ライヴ中のMCで菅原卓郎も「オジーと同じステージに立てて光栄です。ありがとうございます。俺達も含めて、今日出る日本のバンドは全部すげぇユニークだと思う。普通じゃ、オジーには太刀打ち出来ないってことだよね」と言っていたが、メタル、ハードコア、メロコア、ポップス、ブルーズ、歌謡曲、などなど雑多な音楽を闇鍋的に喰らってきた9mmの異形のロックが、今日においてはバラエティに富んだ並びを繋ぐ最大公約数のようにも思えるのが不思議で面白く、また頼もしくもある。BPMを速めた“Discommunication”でスタートしたライヴは、前述のMC以外ほぼ曲間なしで一気呵成に駆け抜ける構成。ハイライトは、ビートを前面に押し出しダンスナンバーとしての要素を強化したことで満場のハンドクラップを生んだ”Black Market Blues”も捨てがたいが、やはり最後を飾った“Punishment”のもはやカオティック・コアと化した熱演だろう。最後に最速かつ音数最多のナンバーで締める手腕、鮮やかだった。

十字と骸骨のバックドロップが掲げられたステージ上に、地鳴りのような大歓声に迎えられ登場したのはザック・ワイルド率いるブラック・レーベル・ソサイアティ。仁王立ちでハード・ドライヴィン・ギターを弾き倒すザック。1曲目の“The Beginning...At Last”から、重たいリフと早弾きソロ、背面弾きまでが飛び出す。10年ぶりの来日であることと、他ならぬOzzfestであること、その両方が彼の気合に作用しているのだろう。そこから“Funeral Bell”~“Bleed for Me”とリフもののヘヴィ・メタルで突き進む中で、とにかく絶えず驚かされたのが、ザックの出音の良さである。細やかなフレージングの1つ1つが摩擦無く耳に入りこんでくる、極上のギター・サウンドである。また、フロントに立つ3人とも長髪に袖無しのジャケットという古典的な出で立ちで、音については古典的というより最早古典と呼んでしまいたくなる、超正統派のヘヴィ・メタル。音の良さ、見た目の良さ、そして楽曲の良さが合わさるのだから、メタル・ファンから厚い信頼を得るわけである。“Stillborn”でライヴを締めた後、ステージ前方に出てきてドカドカと胸を叩く雄々しさも極めてチャーミングだった。

前回から2回連続のOzzfest Japan出演となった、人間椅子。丹念に磨き上げられた鉄球のような、重くはあれど微塵の粗も存在しない洗練されたグルーヴを見せつける。特に“どっとはらい”での3人のうち誰か一人がリズムにわずかなタメを作ろうとすると、残りの2人もぴったりと付いてくる阿吽の呼吸に感嘆させられた。ギターの和嶋慎治が「(自分達の容姿を指して)白塗りの和尚と眼鏡とリーゼント、メタルではあり得ない。日本ならではのバンド」と述べていたように、ブラック・レーベル・ソサイアティとヘイトブリードの間というスロットで聴くと、世界基準でありながら日本以外からは生まれ得ない人間椅子のサウンドの特別さと有り難さがよく分かる。終演時の大歓声は、このバンドが再びOzzfestの客の心をかっさらっていったことを示していたのではないか。

ヘイトブリードでは、開演前からフロア前方の屈強な男性客率が急激に上がる。ライヴが始まり、あの高性能のハードコアが放たれると、当然のように激しいモッシュが巻き起こる。何度もフロアに向かって手を叩き、拳を突きだすメンバー。それに応えるように、オーディエンスも笑顔で飛び跳ね、声を上げる。彼らの音楽が、他者を拒絶するための轟音ではなく、あくまでキッズと1つになるためのものなのだということが分かる。また、激烈なハードコアでありながら、低~中音域が分厚いふくよかな音像で、かつ手数を絞ったドラムによるリズムに弾力性があるため、かなり踊りやすい音楽になっているのが彼らの凄味の1つ。聴き手ごとに様々な楽しみ方が出来る多様性をもって、全ての聴き手をアゲていく。百戦錬磨のバンドの地力の高さを十二分に堪能できた。

ややスターウォーズをパロった形で、オジーに端を発するメタルの流れに彼女達もいること、またメタルによって国を超えて1つになろうということを表現した紙芝居(アニメ―ション・ムービー)「メタルレジスタンスⅢ」によってBABYMETALのステージが始まった。オープニング・ナンバー“BABYMETAL DEATH”、そして着火剤となった“ギミチョコ!!”の2曲だけで一気にOzzfestを制圧してしまった3人の少女。フェスTシャツを着た外国人男性がサイリウムを振っているのを見ると、今の彼女達のスケールを改めて実感する。また、バックバンドである神バンドの驚異的な技量は今日も冴えわたっていた。特に、低音は大地を揺らすような会心の鳴り。ライヴ前半から最後まで続いたサークルモッシュの燃料として機能していたのではないだろうか。BABYMETALは非常にコンセプチュアルではあるが、現行のシーンに対するアンチテーゼとしての概念を持つユニットと言うより、これまで誰も踏み込まなかった領域を拓くことでメタル全体にエネルギーを注入しようという野心と音楽愛に満ちた存在。今日もまたこうした本気も本気の演奏を聴いて、パフォーマンスを観て、改めてそれを思い知らされた。

いよいよトリ前。約13年ぶりにジェーンズ・アディクションが日本のステージに立つ。ライヴの始まりから、下着姿の女性ダンサー3人が高く組まれたステージセットの上で艶めかしく踊っているが、ステージ上の4人から目が離せず、正直それどころではない。4人がステージ上で並んでいるだけで、どんなことだって起きてしまいそうな気がする、この無敵感。しかも、一発目から“Stop”である。1フレーズ1フレーズで天井無しにアジテートし続けるデイヴ・ナヴァロのギター、どこまでも蠱惑的なペリー・ファレルのヴォーカル、その天衣無縫の2人をしっかり支え、ときにケツを叩くリズム隊。バンドマジックとはこういうことなのだ。いくら憎しみ合い、何度解散をしようと、結局このバンドがこうして集ってしまう理由が、ここにあるのである。“Ain’t No Right”~“Mountain Song”~“Just Because”と、畳みかけられる人気曲の数々に、イントロから歓声を上げて迎え撃つオーディエンスの熱も高まる一方。演奏的なピークは、“Ocean Size”で訪れた。ジェーンズというバンドは、スロウなナンバーほどダイナミックに揺らし、ハードなナンバーでは軽快に聴き手の腰を撃つ。その両方が一緒になったこうした曲では、あらゆる感情や欲求が満たされたような感覚に陥ってしまう。この曲の後、ペリーが「友達」だとしてYOSHIKIをステージに招き入れる。ピアノに座ったYOSHIKIが演奏を始めるのは、ジェーンズの“Classic Girl”だ。荘厳に始まり、ブギー・スタイルに移行するこの1曲だけでも、YOSHIKIのスター性はありありと感じることが出来た。また、ステージを降りる際に小さくXポーズをしていった可愛らしさにもフロアからは黄色い歓声が上がっていた。そしてライヴを締めたのは、“Whores”。4人の他、女性ダンサー3人に加え、ボンテージ風の衣装の女性2人がボディサスペンション(身体に直接針を刺し込み吊り下げること)で宙に浮かぶ異常な光景が繰り広げられる。淫靡で、馬鹿で、不敵。なんというジェーンズ・アディクションな画だろう。先陣を切ってオルタナティヴ・ロックの扉を開けながら、その爆発のときには既にいなくなっていた彼ら。タイミングさえ合えば、全く違ったキャリアを歩んでいたのではないかと夢想しないこともない。しかし、何より重要なのは、今日この時においてもジェーンズ・アディクションがその輝きを失わずに存在し続けている、ということである。だからこそ、身をもって確認できたのだ。ジェーンズ・アディクションが最高のロック・バンドであると。ただ、一言だけ恨みごとを言わせてもらうと、“Jane Says”は聴きたかった!

開演からおよそ8時間、大トリのオジー・オズボーン・アンド・フレンズの時間が訪れた。最初に登場したオジー御大は、少しばかり痩せて若返った印象。いきなり「hey hey hey hey!!」とオーディエンスを煽り、盛り上げた勢いそのままに“I Don’t Know”に突入。大はしゃぎで上着を投げ捨て、シャウトをかますオジーにフロアも大声援を上げるが、オジーはまだまだ足りないとアジり続ける。2曲目では、早速トム・モレロが加わり、”Mr. Crowley”が演奏される。その音のハードさたるや。火花を散らすどころか、炎を放射しているかのような迫力のギターソロ。最後は歯ギターによりギター背面に張り付けた「OZZY RULES」の文字を見せつけるサービス精神に、オジーも思わずキスをプレゼント(無論、マウストゥマウスである)する大興奮ぶりだった。もう1曲“Bark At The Moon”の後にトム・モレロが一旦外れ、しばらくゲスト無しでの演奏が続く。どの曲でも自由にリズムをたゆたうオジーを繋ぎとめながら、ガスGのギターソロを中心にカタルシスを創出する堅実なバンド力学が素晴らしい。次のゲストは、再びのトム・モレロと、ギーザー・バトラー! 曲は“Iron Man”だ。ギーザーが入ると、一気に場の重力が変わったのかと思うほど、グルーヴが重く沈み込む。サバスのあの途轍もない重さは、やはりこの男が主導するものなのだ。その異様な音像に若干遠慮しているようだったトム・モレロだったが、続く“N.I.B”では早くも順応し、平歌で暴れ、ソロではスクラッチ奏法が飛び出す爆発ぶり。そして、その熱演によるフロアの興奮をさらに煽り、歓声を持っていくオジー。そこからトム・モレロが抜け、ギーザーとの“Snowblind”~“Behind The Wall Of Sleep”とサバス連打が畳みかけられる。こうしてサバス曲とオジーのソロ曲とを続けて聴くと、その性格の違いがはっきりと分かる。イノヴェイティヴな楽曲を4人の達人が精緻に構築するサバスに比べて、オジーのソロはグッド・メロディであることを唯一の絶対条件としているため、より自由度が高い。今日はその両者を様々なカリスマを招きながら行き来するのだから、1つのライヴの中での音楽性の振れ幅も相当なものがある。「様式美」と決まった型の焼き直しだと揶揄されることもあるヘヴィ・メタルだが、その実、その始祖たるこの男の音楽は極めて柔軟性に富んだフォームを持っていて、しかも、このようなライヴを行うことで今なおその形を更新し続けているという事実。この人は、またこの人がこれだけ愛されているということは、我々の誇りである。デイヴ・ナヴァロが入ったのは、“War Pigs”と“Fairies Wear Boots”。ガスGとのかけ合いで魅せ、重く、激しく、熱い、砂漠の真昼間のような音像を現出させる。楽曲に忠実にプレイをしていても、どうにも音がデイヴの色に満ちてしまうのが、この人の華だ。デイヴの時間が終わると、いよいよライヴも終盤。ギーザー、デイヴが外れ、ザック・ワイルドがステージ・インする。オジーとザックが並び立つ様を見るだけでも感無量だが、当然ながら、音の方も凄まじい。目の前の全てを薙ぎ倒して進む重戦車のような突進力をもって鳴らされたのは、“I Don’t Want To Change The World”~”Crazy Train”。ここにきてオーディエンスもさらに一段階ヴォルテージを上げる。この狂熱をもってフィナーレか、と思ったものの、そこはオジー。自分からフロアに対し「One More Song! One More Song!!」とコールを煽り、自主アンコールを始める。それも、2回。そのおかげで、“Mama, I’m Coming Home”のみならず、ゲスト全員参加での“Paranoid”まで聴くことが出来たので、オジー様様である。ギター4本にベース2本、キングギドラどころではない豪華さだが、逆にこれだけいるのに音がとっ散らからないのが凄い。ガスG、ザック・ワイルド、デイヴ・ナヴァロ、トム・モレロ。それぞれまるで個性の異なるギター・ヒーローたちが、自分の力を十二分に発揮しながら、最終的にはオジーを輝かせることを優先する。それは、この曲でステージ端に登場し、ヘドバンを始めてすぐにオジーにジェット噴水を見舞われたふなっしーも同様である(その様子がギーザーやトム・モレロにウケているのも微笑ましかった)。そう、出演者もスタッフも観客も、全員がこの愛すべき帝王のために尽くす。ここにはオジーを好きじゃないやつなんか一人もいない。オジーの、オジーによる、オジーのための祭典。それがこのOzzfestなのだ。サンキュー、オジー。愛してます!(長瀬昇)
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