め組にハートが鷲掴まれる! 10周年のはじまりとこれからを祝う「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2024 -ネクスト10-」をレポート

め組にハートが鷲掴まれる! 10周年のはじまりとこれからを祝う「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2024 -ネクスト10-」をレポート

2015年7月に結成されため組が、結成10周年への助走として繰り広げる「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2024 -ネクスト10-」。チケットは見事ソールドアウトで迎えた会場・TOKIO TOKYOだが、結論から言ってしまうと、今からこんなに盛り上がってしまって本番の10周年は大丈夫か、と余計な心配をしてしまうステージであった。

め組にハートが鷲掴まれる! 10周年のはじまりとこれからを祝う「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2024 -ネクスト10-」をレポート

ファンキーなグルーヴとロックなアタック感を兼ね備えたオープニングSEが鳴り響く中、外山宰(Dr)、寺澤俊哉(B)、久佐賀麗(Key)、富山京樹(G)、そして菅原達也(Vo・G)が一人ずつオンステージし、それぞれに喝采を浴びる。「め組ネクスト10、“お茶の子再々!”で始めます!」と満面の笑顔で第一声を投げかける菅原は、バンドのアンサンブルが力強い疾走感を描き始める瞬間に、カラフルなパーティーストリーマー(クモの糸)も放ってフロアを沸かせていた。寺澤と富山が演奏しながらわちゃわちゃと揉み合う寸劇(?)があり、この序盤から《茶々 茶々 茶々》とユニークな合唱をがっちり決めるオーディエンスも、会場全体がもの凄い瞬発力で高揚感を描き出してゆくのがわかる。

め組にハートが鷲掴まれる! 10周年のはじまりとこれからを祝う「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2024 -ネクスト10-」をレポート - 菅原達也(Vo・G)菅原達也(Vo・G)

キャッチーでありながらエッジの立った演奏がピリッと効いている“咲きたい”。甘酸っぱいストーリーごと感情の質量を受け止めさせる“しあわせのほっぺ”。奇想天外な楽曲展開にしっかり食らいついてゆく組員(め組ファン)の反応も素晴らしい“お化けだぞっておどかして”と、キャリアを広く見渡しながら練り上げられたセットリストだ。ソールドアウトの報を受けてメンバー全員がニヤニヤしながらスタジオ練習していたと語る菅原は、「毎日毎日イヤなことばっかりあるかも知れないですけど、皆さん今日はどうか、それを一旦どかしてください。いいですか。もう好きに歌って、好きに体を動かしていいので、今日は俺がきょ、きょっか、許可しますので、よろしくお願いしまーす!!」と宣言するのだった。

め組のライブには、もちろん定番の人気曲もいろいろあるのだけれど、決して演奏頻度の高くない楽曲にふとハートを鷲掴みにされたりもする。掘れば掘るほど良い曲だらけ。それが、ポップの大鉱脈たるめ組のディスコグラフィーだ。外山による乾杯の音頭や、20代の日々の9割をめ組メンバーとして過ごした感慨を語る富山の言葉を挟みながら、“ななこおねいさん”、“真夏の朝 2人乗り”、“さたやみ”といったエモーショナルな佳曲の数々がライブ体験に深みを加えてくれる。

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    富山京樹(G)

  • め組にハートが鷲掴まれる! 10周年のはじまりとこれからを祝う「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2024 -ネクスト10-」をレポート - 久佐賀麗(Key)

    久佐賀麗(Key)

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寺澤がちゃっかりとライブグッズ「悪魔のタンバリン」を紹介し、また久佐賀がオーディエンスの体調を気遣いながら「め組と一緒に、ワクワクしようぜーっ!!」と決め台詞を投げかけた後には、今秋からの3ヶ月連続シングルリリースを発表し、新曲“タソガレモード”の披露へと向かう。雁字搦めの現実にヒリヒリとしたスリルを添えてゆく、そんな詩情に満ちた素晴らしい楽曲だ。どこかUSエモ/パンク由来の熱い疾走感を受け止めさせる曲調も、もともとブリティッシュ・ロックの影響が強かった菅原作品にあって新鮮な手応えをもたらしてくれる。

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    寺澤俊哉(B)

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    外山宰(Dr)

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間もなく10年に至ろうとしているめ組のキャリアだが、決して順風満帆なものではなかった。特にメンバーの交代劇は、個々が高い技量を備えていたからこそ、バンドとしての結束力やバランスを発揮するのに都度苦労してきたはずだ。その点で、楽曲の制作時点では未加入だった久佐賀がリードボーカルとしてマイクを握り全力で弾け回る“あたしのジゴワット”や、デビュー曲“500マイルメートル”でホットロッド・ロックンロールの最高にかっこいい推進力を担うリズムセクション=寺澤&外山の活躍は、め組の物語を継承し自分自身の物語を重ねてゆく気概に満ち満ちていた。一瞬の音の中に、大きなドラマが横たわっているのである。「もっとかっこいい10周年を迎えたいんで」という思いを込め、オーディエンスも一斉に10回ジャンプを決めて、ライブ本編は熱気冷めやらぬままフィナーレを迎えた。

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アンコール代わりに、オーディエンスが《合言葉は》《ちゅるりらら》と“悪魔の証明”の一節を歌うのも恒例だ。ステージに再登場した菅原は「未来永劫、このめ組という船は沈めさせないし、こんな愛すべき乗組員たちに、ずっとずっと、幸せだーとか、楽しいー、って思ってもらえるよう全速前進で進んで参りますので、どうか絶え間なく、僕たちと付き合ってください!」と告げ、フロアにバルーンが投入される“Bad Night Dancer”、さらにはスタンドマイクをフロアに向け盛大な歌声を誘う“ぼくらの匙加減”で、ライブは大団円を迎える。

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前述の3ヶ月連続シングルリリースに加え、2025年1月からは大阪・名古屋・東京でツアーを開催することも発表された。単なるアニバーサリーではなく、新曲のフレッシュな息遣いとともに飛び込んでゆく10周年が、今から楽しみだ。(小池宏和)

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●セットリスト
め組「ME-GUMI ONEMAN LIVE 2024 -ネクスト10-」
2024.7.20 渋谷・TOKIO TOKYO

01. お茶の子再々!
02. 咲きたい
03. しあわせのほっぺ
04. お化けだぞっておどかして
05. キキ
06. マイ・パルプフィクション
07. ななこおねいさん
08. YOLO
09. 真夏の朝 2人乗り
10. さたやみ
11. タソガレモード (新曲)
12. (I am)キッチンドリンカーズハイ
13. あたしのジゴワット
14. 悪魔の証明
15. 500マイルメートル

Encore
16. Bad Night Dancer
17. ぼくらの匙加減

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